こちらは12歳の少年デイヴィットが
歪んだおとぎ話の世界に迷い込み
『失われた本』を探す旅に出るお話よ。
おお〜 異世界に紛れ込んじゃう
やつだな!歪んだおとぎ話の世界って
どんなところなんだ?
赤ずきんと狼の間に生まれた人狼が、
狼たちを従えてこの国の王様になろうと
狙っているの。世界にはあらゆる歪みが
生じていて、それを正す方法は王様が持つ
「失われた本」にあるらしいの。
なるほど それでデイヴィットは
本を求めて旅に出るわけだ。
人狼が現れたりってなんだか
穏やかじゃないけど大丈夫かな…?
『失われたものたちの本』
ジョン・コナリー (著), 田内 志文 (翻訳)創元推理文庫
あらすじ
12歳のデイヴィットは、母親が病気で亡くなり、ほどなく父が再婚したが新しい家族の暮らしに馴染めずにいた。
ある夜、死んだはずの母の声に導かれ庭に出たデイヴィットは幻の王国に迷い込む。
赤ずきんと狼の間に生まれた人狼、醜く厚かましい白雪姫、神出鬼没のねじくれ男。
歪んだおとぎ話の世界でデイヴィットは『失われた本』を探すたびに出る。
亡き母の声に導かれ異世界へと迷い込む
病で母を亡くした心の傷が癒えないデイヴィット。
父の再婚相手であるローズのことをデイヴィットは母親として認めることができません。
自分が安らげる場所は、幼い頃に行方不明になってしまったという、ローズの伯父が暮らしていた部屋。
たくさんの本に囲まれ、今は自分の部屋となったこの場所でデイヴィットは本たちの様々な囁き声を耳にします。
ローズとひどい喧嘩をした夜、亡くなった母の「私を助け出して」という声に導かれ、庭に出たデイヴィットは木が生い茂る異世界へと迷い込んでしまいます。
一人の木こりに出会い、この森には赤ずきんとの間に生まれた人狼が王になろうとしていること、この森が変化を続けていることを聞きます。
そしてこの世界を操作しているのは、デイヴィットが暮らしていた屋敷にも度々姿を現したことのあるねじくれ男であること、また、もとの国に戻る方法は王様が持っている「失われたものたちの本」に載っているのでは、といういことを教えてくれました。
王様のもとへ向かう旅に出た二人ですが、途中狼たちに襲われ離ればなれになってしまいます。
たった一人で冒険に出ることになったデイヴィットは、奇妙に歪んだおとぎ話の世界を体験し、何度も危険な目に遭いながらようやく王様のいる城へと到着します。
今はその力を失いつつある王様が大切にしている「失われたものたちの本」とは。
まとめ
母を亡くし孤独を抱えるデイヴィットは、グロテスクで残酷なおとぎ話の世界へ迷い込みます。
様々な敵を眼の前にして、自身の持ちものや知識を駆使して困難を乗り越えていきます。
一番の敵は問題に向き合わずに逃げる自分自身。
そう気付き、成長していくデイヴィットの姿に胸が熱くなります。
おとぎ話がグロテスクに変容する驚きの世界、それと同時に大きなワクワクと勇気を与えてくれる物語です。
<こんな人におすすめ>
さまざまな歪んだおとぎ話の世界に迷い込んだ少年の冒険譚を読みたい
母を亡くした孤独な少年が異世界での冒険で成長していく姿を描いた物語に興味がある
ジョン・コナリー のファン
デイヴィット…!!
物語はもちろんなんだけど
ラストがものすごくイイ!!
おとぎ話の世界がこんな風に
描かれるなんて驚きよね。
自分の弱さを克服し戦い、
成長していくデイヴィットの姿に
感動する物語ね。
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