小説・人文

イラストブックレビュー

補欠だからこそ見えることとできること

『ホケツ! 』 小野寺史宜 (著)のイラストブックレビューです。母を亡くし、伯母と同居している高校三年生の宮島大地、引退を控えたサッカー部ではいつも補欠。メンバーの手助けをしたりするのは楽しいが、伯母には「レギュラーだ」と嘘をついていた。進路に悩んでいるとき、十二年前に家を出た父親から突然連絡が入り、伯母とともに会うことになるのだが。
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猫が残していった爪痕がいつまでも心に残る

『猫鳴り』 沼田 まほかる (著)のイラストブックレビューです。結婚十七年、ようやく授かった子供を流産し、哀しみの中で日々を過ごしていた信枝と夫の藤治。家のそばに現れた子猫はモンという名前をつけられ、夫婦に育てられた。不思議な存在感を持つモンが、その生涯を終えるまでの人間との関わりを描く。
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愛だけでは生きられない 猫と人間のリアルな関係

『虹猫喫茶店』 坂井希久子 (著) のイラストブックレビューです。一浪して受けた本命の大学の医学部が不合格となり、しぶしぶ受けた獣医大学に合格、入学した僕。友達もできず、ヒマを持て余し、目についた「猫の世話をするだけの簡単なお仕事」というバイトをすることになったのだが…。
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図書館の神さまが教えてくれること

『図書館の神様』 瀬尾 まいこ (著) のイラストブックレビューです。それまで一心に取り組んできたバレーボールをやめて、海が見える高校の国語教師として赴任したのだが、なんと部員がたった一名の文芸部の顧問をすることになってしまった。まっすぐな青春を送ってきた『私』がある出会いから傷を負った心を回復していく。
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夫婦生活の悩みはこんなにも切実なのね

『奥様はクレイジーフルーツ』 柚木 麻子 (著) のイラストブックレビューです。家で仕事をするジュエリーデザイナーの初美、三十歳。女性誌の編集をしている三十五歳の夫、啓介とは結婚して三年になる。夫婦の仲は良好だが、夜の営みが間遠に。夫婦愛とはセックスと切り離されたものなのか。
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本の向こうに連れて行かれないようご注意を

『奇譚を売る店』芦辺 拓 (著)のイラストブックレビューです。「また買ってしまった」。古書店を見かけるとつい中に入っては本を手にしてしまう「私」。その古書との出会いによって「私」は奇妙な世界へと導かれていく。幻想怪奇な魅力に満ちた全六編の連作短編集。
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やがてやってくる「老い」をどう生きるか

『すぐ死ぬんだから』 内館 牧子 (著)のイラストブックレビューです。78歳のハナは、身の回りに気を使い、見た目は60代、夫にも「自慢の妻」と言われ、概ね満足な老後を送っている。ある日夫が倒れたことから思いがけない事実が明らかになる。
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便利って何?人間らしさって?AI時代の生き方を問う

『ままならないから私とあなた』 朝井 リョウ (著) のイラストブックレビューです。数学が得意で、とことん合理的に生き、無駄なことは切り捨てていく薫。ピアノが好きで、説明できない感情や無駄と思われることにこそ、人のあたたかみが宿ると考える雪子。ふたりの友情と成長、価値観のぶつかりを描く。
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「あずかりやさん」はお客さんの人生の一部も預かるのです

『あずかりやさん 彼女の青い鳥』大山 淳子 (著)のイラストブックレビューです。藍色に白抜き文字で「さとう」と書かれたのれんがかかる「あずかりや」。この店では目の見えぬ店長が1日百円でなんでも預かります。
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人生一美味いビールが深く、深く沁みていく

『六畳間のピアノマン』 安藤 祐介 (著) のイラストブックレビューです 。ブラック企業に入社した大友、夏野、村沢。休みなく働いてきた三人は、ある夜、居酒屋で「人生一美味いビール」を飲む。人間らしさを取り戻したかのように思えた三人だったが、翌日から上司である上河内の締め付けが、さらにひどくなっていく。