『笹まくら』 丸谷 才一 (著) 新潮文庫
あらすじ
大学職員として働く浜田庄吉は、一通のハガキを受け取った。それはある女性の訃報を知らせる内容だった。浜田は、杉浦健次という名で全国各地を渡り歩いていた二十年前に思いを馳せる。現在と過去を行き来しながら、戦争と戦後とは何なのかを問う。
名前を変え、全国各地を回っていた二十年前
亡くなった女性、阿貴子は、浜田が徴兵を忌避して日本全国を旅していた時に知り合い、ともに過ごした存在でした。いつ捕まるとも知らぬ緊張感を常に持って過ごしてきた彼にとって、その正体を見抜き、それでもそばにいてくれる阿貴子の存在は、大事な支えとなっていたのです。一緒になることは叶わなかった二人もそれぞれの人生を順調に歩んでいたはずだったのですが…。
まとめ
戦争が終わったはずなのに、人を殺した者は英雄として囃し立てられ、盛り上がり、殺さず逃げた者へ冷たい目を向ける。浜田の戦いは、過程に職場に、そして社会にと、そのばが広がってしまったようです。戦争がまるでイベントのように捉えられる社会の風潮に、戦争や倫理について考えさせられる物語です。
<こんな人におすすめ>
戦時中、戦争忌避者がどのように生きていたのか興味がある
戦後の日本の様子を描いた話を読んでみたい
丸谷 才一のファン
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