『びいどろ金魚』 篠綾子 (著) ハルキ文庫
あらすじ
照月堂の主人・久兵衛の主菓子が幕府歌学方へも好評を得ている。来たる夏に向けての主菓子について案を出すよう久兵衛に言われたなつめは、菓子について思いを巡らす。そんな折、照月堂でしばらく預かることになった少年・富吉は妙になつめに懐いてきたのだが…。
目にするもの全てが菓子づくりへとつながっていく
意匠を凝らし上品な味わいの菓子を作り出す久兵衛。その久兵衛のもとで菓子職人を目指して真っすぐに進むなつめ。友のしのぶと出かけた先で味わう桜餅、久兵衛の子供たちが通う寺子屋で見た金魚の優雅で愛らしい様子。花見で賑わう街の様子や、暑い中で涼を取るための、住まいのしつらいなど、目にあるもの体験するもの全てが彼女の中に取り込まれ、菓子づくりの情報として使われます。これもなつめの菓子づくりへの情熱があってこそ。
まとめ
武家出身であるなつめの凛としたたたずまい、友や周囲の人を思いやる心、そして菓子づくりへの思いが、読む者に力を与えてくれる物語です。
<こんな人におすすめ>
風情ある和菓子の世界を描いた話に興味がある
友情や恋に悩みながら菓子職人を目指す女性の話を読みたい
篠綾子のファン
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