喪ったあの人と、再び遭える裁縫店

『あなたの思い出紡ぎます 霧の向こうの裁縫店』

高橋 由太 (著)    宝島社文庫

あらすじ

亡くなった祖父が遺した銀座の老舗テーラーを売り払い、そのお金をほぼ使い果たし、手元に残ったのは100万円…。二十八歳の真琴は、祖父が残した「困ったことがあったら『鳥居の見える裁縫店』を尋ねるといい」という言葉を思い出し、やってきてみたのだが。

亡くなった人に会えるという不思議な裁縫店

深い霧の中にあらわれた鳥居、そしてその先にある『鳴瀬裁縫店』。口の悪いイケメン店主はなぜか真琴の事情に詳しく、店にいた少年・ユキオの助言もあり、真琴はしばらくこの店で世話になることに。死んだ娘に会いたい母、病で死んだ妻に会いたい夫、自殺してしまった女子高生の恋人だった教師。彼らは、店主が依頼者と個人の思い出の品を縫い付けることで、一時出会えることができるのです。そこで依頼主は、現在の自分の問題を見つめなおしていきます。

まとめ

大切な故人に会うことで、幸せだった過去の自分を振り返り、今の自分はどうなのか、と見つめ直す機会を与えられるようです。人が人を大切に思い、愛しているからこそちぎられるような痛みと悲しみを感じ、そして故人と会うことで明日へと目を向ける力をもらえる感動の物語です。

<こんな人におすすめ>

亡くなった人と出会える裁縫店に興味がある
大切な人を思う気持ちを丁寧に描いた感動の物語を読みたい
高橋 由太のファン

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