『風に舞いあがるビニールシート』
森 絵都 (著) 文春文庫
あらすじ
優れた腕を持つパティシエの気まぐれに奔走させられたり、クレーム対応に向かう車中で若い社員の私用電話を長々と聞かされたり、難民を保護し、支援する国連機関に勤める二人の夫婦のあり方に苦しんだり。自分の守りたい価値観や幸せを探し、もがきながらも何かを見つけていく人々を描く。
仕事と彼の間で追い詰められ、揺らぐ弥生
才能豊かなパティシエ・ひろみの秘書として、スケジュールの管理や仕事のチェック、手配をこなす弥生。彼からのプロポーズがあるであろうイヴの夜に、ヒロミから撮影用の器を探しに出張してきて、と連絡が入ります。俺とあの女とどっちをとるのだ、と彼から責められ、探した器はヒロミからのOKが出ず…。そんな中で出会ったある器は弥生に生気を吹き込みます。そして弥生が決めた道とは。
まとめ
退路を断たれた登場人物たち。それまでの価値観で得られなかった幸せは、自分自身が変わることで価値観に変化が現れ、これまでになかった「幸せ」を見つけることができるのです。ボディブローを打ち込まれた後にじわじわと回復していく喜びを感じられるような物語です。
<こんな人におすすめ>
大切なもののために生きる人々を描いた話を読みたい
「幸せ」について考えさせられるような斧が足りに興味がある
森 絵都のファン
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