感覚の隙間に沁み込んでいくもの

『夜とコンクリート』  町田 洋 (著) 祥伝社

あらすじ

新しくて、どこか懐かしい作家、町田洋の初期作品集。建物の声が聞こえる男、もうひとつの世界から、もとの世界へ帰ろうとする男、中年男と少女の世界観の共有など4話を収録。

作品の雰囲気

全体的にセリフは少なめで、タッチも独特です。一コマ一コマにゆったりとした時間の流れを感じます。現実離れしたSFファンタジーのような内容ながら、静かな空気感と、登場人物たちの会話の「間」が、詩を読んでいるような感覚にさせてくれます。

まとめ

感覚の隙間にゆっくりと染み込んでいき、読んでいるうちに懐かしいような、切ないようななんとも言えない気持ちになります。

いろんなものを抱えて生きている登場人物たちが見つける小さなオアシス。得た喜びを思い出し、失った悲しみに嘆息する。シンプルなタッチに彼らの表情が映えます。

なんども繰り返し読んで、自分の感覚を確認したくなる、そんな物語です。

<こんな人におすすめ>

静かな、心に沁みるような話が好き
セリフだけでなく、背景やしぐさなどで表現されている話が好き
町田洋のファン

夜とコンクリート
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