淀んだ澱もやがて流れていくように

のこ
のこ

こちらはかつて恋人に

撮らせたヌード写真が

ネット上にあるのを発見してしまった

女性のお話よ。

ぬこ
ぬこ

ええっ そいつはひどい。

その彼氏もろくなもんじゃないな。

のこ
のこ

すでに別れてしまっている相手だけど

その元彼は自分が出したわけじゃないって

言っているの。

ぬこ
ぬこ

そうは言っても、ネット上の写真が

全て消せるわけじゃないだろうし

不安にもなるよな…。

『さらさら流る』  柚木麻子 (著)  双葉文庫

あらすじ

大手コーヒーチェーンの広報部に勤める菫は、ネット上で自分のヌード写真を見つけた。それは昔付き合っていた光晴に取られたものだった。写真は削除したはずなのに何故、どうして…。焦りや不安、恐怖に苛まれる菫は友人の優子に相談する。

交際していた二人の様子と、光晴の抱えるもの

光晴と出会った頃、菫の家によく遊びに来て、家族ぐるみで仲良くしていたこと。二人の交際の様子の振り返りを挟みながら、菫の苦しい気持ちや、菫のために行動を起こす優子、そして菫の告白を受け、動揺する家族の様子が描かれています。

家族のあたたかさを求め、菫のもとにそこを見出していた光晴は、そのくすぶった感情をいつまでも持ち続け、菫のことを思いやるというところまでいかなかったようです。自分の感情の澱に足を取られているのです。

まとめ

対する菫は友人や家族が自分を愛して守ってくれることで、自分の輪郭がより明確になっていくようです。環境に流され、自分を哀れむのではなく、激しい流れの中から自分を見つけ出し、踏ん張って立つ。すると澱は自分を通り過ぎ、流れていくのです。

<こんな人におすすめ>

ネット上に自分のヌードを晒された女性を描いた話に興味がある
心の奥にある澱みを見つめ、乗り越えていく話を読んでみたい
柚木麻子のファン

ぬこ
ぬこ

そうか。菫はそうやって

生きていくことを決めたんだな。

何者にも染まらない美しさと強さを感じるな。

のこ
のこ

過去の自分と彼のことを否定するのでは

なくて、受け止めて、乗り越えていく。

その姿に感動を覚える物語ね。

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