のこ
こちらは水墨画に取り組む
大学一年生の男性のお話よ。
ぬこ
水墨画って、あの墨と
筆で描くやつ?難しそうだな。
のこ
そうね。そして奥が深い世界でもあるわ。
訳あって心が凍りついたかのようになっていた
男性は、水墨画に取り組むことで少しずつ
変わっていくの。
ぬこ
へえ〜。そいつの心の変化と
水墨画の世界をのぞいてみよう!
『線は、僕を描く』 砥上 裕將 (著) 講談社
あらすじ
両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学一年生の青山霜介は、ふとしたきっかけで水墨画の大家・篠田湖山と出会う。
湖山に気に入られ内弟子となった霜介は、湖山の孫娘・千瑛に反発され、翌年の「湖山賞」をかけて勝負する、と宣言されるのだが…。
両親を亡くしてから、心の中にあるガラス窓から外を眺めている霜介。
大学に通い、友人もできましたが、食欲もなく、自分から何かに興味を示すことはあまりありません。
そんな中、湖山先生に何故か気に入られ、内弟子となり、先生の手から生み出される線を見つめ、そして自分の手からその線を生み出すことで霜介は少しずつ変わっていきます。
まとめ
無駄を省き、吟味され熟練の技術を伴って描かれた線が生み出すのは、生命の輝き、そして喜びです。
透明な哀しみを持つ霜介だからこそ、その線は生命の存在や静かなたたずまいさえも感じさせるのです。
水墨画によって1人の人間の輪郭が描かれていく様子に感動する物語です。
<こんな人におすすめ>
水墨画がどのように描かれるかをリズミカルに綴った話に興味がある
水墨画を書く事で、心の傷を回復していく姿を描いた話を読みたい
線が作り出す美しい世界を文章から感じてみたい
リンク
ぬこ
す、すごい…
筆の先から世界が生まれ一人の
人間の形さえもはっきりとさせて
いくようだな!!
のこ
線から生まれる美しい世界。
読むとだれもがこの世界に
引き込まれてしまうのでは
ないかしら。
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