こちらは刑務所の中にある
美容室を描いたお話よ。
刑務所の中に美容師が?
一般人も利用できるのか?
模範囚が美容師としての技術を
学ぶことができるの。ここはいわば
実践の場で、一般人も利用することが
できるのよ。
へえ〜。どんな人間が
美容師なのかな。利用する人間も
どんな気持ちでいるんだろう。
『塀の中の美容室』 桜井美奈 (著) 双葉文庫
あらすじ
テレビ番組制作会社に勤めて三年になる芦原志穂。
激務が続く中、恋人と会う時間も取れず、約束しては「ゴメン」とキャンセルすることが続いている。
そんな中、志穂は資料として刑務所の中にある美容室を取材することに。
重なるデートのキャンセル連絡の結果、彼から戻ってきた返事は「別れよう」。
沈む気持ちを引きずりながら向かった、塀の中の美容室とは。
休みも取れずハードな毎日を送る志穂は、とうとう彼から別れを告げられてしまいます。
納得いくような、いかないようなモヤモヤした気持ちで取材先の刑務所へ向かいます。
建物は刑務所と別になっており、壁は空のような美しいブルー、床と椅子は雲のような白色に塗られていて、空の中にいるような気分に。
美容師は二十代の女性で、高い位置のお団子ヘアが目を引きます。
彼と出会ってから伸びた分、二十二・五センチ髪をカットしてもらうことに。
ジャキジャキとハサミの音を聞きながら、彼との交際期間に思いをめぐらす志穂は、切り終わると涙を流していました。
まとめ
多くを語らず、丁寧な仕事をする美容師はどんな罪を犯したのでしょうか。
そしてこの美容室を利用するのはどんなお客さんたちなのでしょうか。
それぞれの人生が、空の中の美容室でゆるやかに触れ合う、しみじみと感動する物語です。
<こんな人におすすめ>
刑務所の中にある美容室を描いた話に興味がある
悩みを抱えながらも自分の気持ちに向き合っていく人たちの物語を読みたい
桜井美奈のファン
穏やかに流れる美容室の空間の
背景にはそんな出来事があったんだな…(இдஇ; )
髪にまつわるそれぞれの思いが
ときに苦しく、そしてときに優しく
読む者の心を揺さぶるのよね。
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