こちらは2020年の本屋大賞受賞作よ。
当時小学生の更紗と大学生の文が出会い
数日間をともに過ごすの。数年後、再び
出会った二人を描いていく物語よ。
ほほう。大学生の文は男性?
小学生の更紗は女の子だろ?
それって誘拐なのでは?
性的な関係はなく、互いに必要と
していたの。でも文は誘拐犯として
逮捕されてしまうわ。そこから何年も
会うことはなかったのだけど。
互いに必要としていた、か。
二人はどんな環境の中で生きてきたんだろう?
そして再び出会った時、どうなったんだろうな。
『流浪の月』 凪良 ゆう (著) 創元文芸文庫
あらすじ
父が亡くなり、母親が出て行った九歳の更紗は、伯母の家で暮らすことに。
居心地の悪い環境で自分を押し殺しながら日々を過ごしていた更紗。
ある雨の日の夕方、大学生の文に「帰らないの?」と声をかけられる。
傘もなく濡れる更紗に「うちにくる?」と問いかけた文に、更紗は「いく」と立ちあがった。
心休まるあたたかな時間は突然終わりを告げる。
デジタルタトゥーとして刻まれた二人が再び出会ったのは十五年後のことだった。
二人が十五年後に再開するとき
「ちょっと変わった」両親に育てられ、のびのびと育った更紗。
伯母の家の十四歳の息子・孝弘に不快感を抱き、自分の素直な感性が周囲に受け入れられないことを理解し、なるべく周囲に合わせるようにして暮らしています。
大学生の文に声をかけられ、文の家で過ごす更紗はこれまでにない開放感と安心感に包まれます。
一方、几帳面で自分のルールに従って生きる文は、更紗の自由奔放ぶりに目を白黒させながらも、その行動に付き合います。
二人で出かけた先で文は逮捕、更紗は保護されます。
二十五年がたち、再び出会った二人には互いに恋人がいました。
それでも文に「会いたい」という思いをおさえられない更紗はある行動に出るのです。
まとめ
自由な感性を明確な理由もないままに悪とする、年齢や性別で人を判断する、他人の姿を撮影し、いつまでも消えない傷として晒し続ける。
様々な暴力を受けてきた二人の絆は兄妹でも恋人でもなく、言葉では言い表すことはできませんが、とても深く、何者にもかえがたい大切なものなのです。
<こんな人におすすめ>
少女誘拐事件をテーマに描かれた物語に興味がある
世間からは理解されない、言葉にできない関係を描いた物語を読んでみたい
凪良 ゆうのファン
広瀬すずさん、松坂桃李さん主演で5月13日全国ロードショー。映画になるとまた、胸に強く響きそうです。
もうさ お互いを救えるのは
この組み合わせしかないわけだよな( ; ; )
恋人でも兄弟でもない。
でもお互いになくてはならない存在。
この関係を言いあらわせる言葉は
見当たらないわね。
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