こちらはピアノ調律師の
女性が過去に起こった出来事を
めぐるミステリーよ。
ほほう?そのピアノ調律師は
どんな過去があるんだ?
母親と二人で叔父の世話になって
いたのだけど、その叔父が風呂場で
事故死するの。当時のその村は現在は
ダムの底で水没しているわ。でも当時の
事件を探ろうとする人物が現れるの。
事故死ねえ。しかもその現場は
現在水の中…。なんだかきな臭いな。
どんな真実が隠れているんだろう。
『死はすぐそこの影の中』
宇佐美まこと (著) 祥伝社文庫
あらすじ
ピアノ調律師の一藤麻衣子が子供の頃に育った、愛媛の山奥にある七富利村はダムの底に沈み、現在は水の中。
しかし、そこで起こった出来事はときに悪夢となり麻衣子を悩ませている。
他人と深く関わらないよう注意深く過ごす麻衣子に美人ピアニストの兄が近づき、そして麻衣子の過去や七富利村で起こった出来事を探ろうとする男も現れる。
身動きが取れない状況に追い込まれた麻衣子の前に姿を見せた人物は。
伯父の死に麻衣子はどう関係するのか
父が亡くなり、幼い麻衣子は母とともに七富利村にある伯父の家で暮らすことになりました。
伯父は見た目も言動も怖ろしく、度々麻衣子を納戸に閉じこめます。
そんな伯父が、ある日、風呂場で全身が焼けただれた死体となって発見されます。
酔っ払って高温になった風呂に落ちた事故死とされましたが、麻衣子は今でもその時の伯父の姿が目に焼きついて離れません。
村を離れ、調律師として独立した麻衣子は、橘リゾートの御曹司、陽一郎から声をかけられ、食事に誘われます。
また、七富利村出身であり、過去に起こった伯父が亡くなった事故と村の呪いに着いて調べている、というフリーライターが麻衣子に近づきます。
秘密を明らかにされるのでは、と怖れる麻衣子ですが…。
まとめ
一音一音集中し、ていねいに、そして全体をまとめあげるよう仕上げていく調律師の仕事。
それは過去、麻衣子に起こった出来事と共鳴しているようです。
美しい調べと冷たい水の底に沈んだ恐怖が読者を予想もしなかった結末へと導きます。
背筋が凍るような思いと悲しみが同時に訪れるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
忌まわしい過去を持つピアノ調律師がトラブルに巻き込まれていく話に興味がある
隠れキリシタンの呪いと叔父の死が絡まるミステリーを読んでみいたい
宇佐美まことのファン
この結末に驚かずにはいられないだろ!!
あの人たちの態度の裏にはこの真実が
あったからだなんて…((((;゚Д゚))))
人間の底に沈んだものが
表に出てくる恐怖は
言葉にできないものがあるわね。
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