こちらは『不幸の家』と呼ばれる家に
住んだ5つの家族を描く物語よ。
えっ 不幸?
離婚したり死別したりとかして
一家離散したりしたとか?
そうねえ。様々な家族がここに
住んだの。裏庭には枇杷の木が
生えていて、縁起が悪い、とも
言われているの。
枇杷の木が!?まあそれだけが
理由ってこともないだろうけど。
いったいこの家に住んだ人たちに
何があったんだろう?
『うつくしが丘の不幸の家』
町田 そのこ (著) 創元文芸文庫
あらすじ
海を見下ろす小高い丘に広がる住宅地、『うつくしが丘』。
この地に建つ、築21年の3階建一軒家を購入した美保理と譲。
1階を美容室に改装し、近所の人に利用してもらえる店にしようと張り切っていた。
しかし、オープンを間近に控えたある日、美保理は近隣住民からここが「不幸の家」と呼ばれていることを知る。
「不幸の家」に住んだ五つの家族を描く物語。
うまくいかないのはこの家のせい?
中古の一軒家を購入し、ここで美容室をはじめようと準備を進めていた美保理と譲。
忙しい時だというのに、同じく美容室を営む譲の父から電話が入り、今すぐこちらに手伝いに来い、と言われます。
高圧的な物言いに腹を立てる美保理ですが、父には逆らえない譲は手伝うために父の店へ。
なんだか物事がうまくいかないのは、近隣の住民にここを「不幸の家」と呼ばれたせいなのか。
裏庭にある枇杷の木も縁起が悪いと業者に言われたことを思い出し、隣家にはみ出た枝だけでも切ろうとした美保理ですが、うまくいきません。
そんな美保理に声をかけたのは、隣家の老女。
誘われるままにお茶とお菓子をごちそうになった美保理は、自分のおかれた状況を語りだすのですが…。
まとめ
新しい生活をはじめようとする夫婦、子供たちが巣立っていく時を迎えた夫婦、夫と住んだ家から逃げるように出てきた母娘と母の友人、不妊治療に悩む夫婦。
彼らは「家」という入れものに何かしらの思いを抱いていますが、必ずしもこの家でなくてはならない、というわけではないことに気づいていきます。
それは「幸福とはこうあるべき」という自ら着た鎧を脱ぎ、自分だけの幸福を手に入れたということなのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
家族の様々な幸せのかたちを描いた物語に興味がある
「幸せ」とはなんなのかを考えさせられる話を読んでみたい
町田 そのこのファン
。・゚・(ノД`)・゚・。
幸せはそこにあるんだよな。
見えづらくなっているだけで。
「幸せ」かどうかを決めるのは
他人ではなくて自分自身なのよね。
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