ダンボール箱は好き?
そうだなあ。あるとつい入っちゃうな。
ジャストサイズだとうれしいぞ。
こちらはダンボール箱に入るのではなく
頭にかぶって生活している男をめぐって
起こる出来事を描く物語よ。
はい?ダンボールをかぶる?
人間界はそれもありなのか?
なんとも不可解な物語だな。
『箱男』 安部 公房 (著) 新潮文庫
あらすじ
頭からすっぽりとダンボールの箱をかぶり、都会の街を彷徨い歩く箱男。
箱の中で全てを完結し、自分たらしめるものを放棄する彼が、箱ののぞき穴から見ていたものは何だったのか。
贋箱男との関係、看護婦への愛など、喜びと苦しみ、美しさと醜悪さを持つ人間たちの姿がいくつも交錯する。
やがて読者を迷宮の世界へと誘う衝撃的な物語。
ある日 窓の下に箱男が住みついた
ある男のアパートの窓の下に一人の箱男が住みつきます。
嫌悪と苛立ちを感じた住人は空気銃で箱男を狙い撃ち、どこかに当たった様子で箱男は去っていきました。
折しも住人は冷蔵庫を買い換えたところで、部屋にはダンボール箱がありました。
試しにかぶってみたのですが…。
一方、撃たれた箱男は病院で治療を受けます。
そしてその病院の看護婦に五万円で箱を売る約束をしてしまいます。
箱男に銃を向けたのは、彼を治療した医師であり、その医師が箱男になりたがっているようなのですが…。
まとめ
閉鎖された箱の中で、細長く切られた穴から外を見る箱男。
外の景色に溶け込み、誰もが箱男の存在を目線から弾いてしまいますが、箱男はその囲まれた世界の中からじっくりと外の世界を見ることができます。
外界との断絶、自分を自分たらしめるものからの解放。
新たにその魅力に取りつかれる者、もとの世界に戻って行く者と留まる者。
世間の無関心という目線を背景に、より限られた状況からの「目線」を求めた者たちが見たものとは、いったい何だったのでしょうか。
<こんな人におすすめ>
箱をかぶって暮らす男に興味がある
世間から隔絶された環境とはどんなものなのかを知りたい
安部 公房のファン
ななななな…??
途中から箱男の正体がよくわからなく
なってくるぜ。でも箱をかぶることの
魅力を理解できそうな自分が怖い…(・・;)
箱の中から覗く外の世界は
彼にどんなものを見せたのかしら。
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