こちらは嘘を養分にして育つ
不思議な植物をめぐり
少女が父親の死の真相を
探っていく物語よ。
嘘を養分にして育つ!?
そんな木があるのか??
舞台は19世紀のイギリス。
科学の発達により、人間は
神が作ったのではないという認識が
広まっていた頃。そして女性が科学の
世界で活躍するなどあり得ない、といった
時代でもあったの。
なるほどねえ。
女の子が真相を探るにも
そうした時代背景だと困難がありそうだな。
とにかくその植物がどんなものなのかが
気になるぜ。
『嘘の木』
フランシス・ハーディング (著), 児玉 敦子 (翻訳) 創元推理文庫
あらすじ
19世紀のイギリス。
高名な博物学者であるサンダリーとその家族たちはヴェイン島へやってきた。
サンダリーが発見した化石は捏造であると新聞に書かれ、14歳の娘・フェイスは父は嘘などついていない、と信じている。
その父が不審な死を遂げ、何者かに殺されたのではと考えたフェイスは、真相を見つけるため父の荷物を調べるが、そこで見つけたのは父の手記と、嘘を養分にして育つという不思議な木だった。
父の死と「嘘の木」の謎
世紀の大発見と呼ばれた、翼ある人類の化石が捏造だとインテリジェンサー紙の記事に書かれてしまったサンダリー。
本人はそのことについて口にしませんが、島の住民たちにも知れわたります。
父は正直で誠実であると信じる娘のフェイスは疑惑のまなざしを向けてくる住民たちの態度に納得がいきません。
そしてある日、サンダリーは崖から落ちて亡くなります。
その状況を不審に感じたフェイスは、父の手記を調べ、父が洞窟で隠し育てていた「嘘の木」がどのように成長するのか実験を行います。
副牧師の息子・ポールの力を借りて父の死の真相について調べはじめるのですが…。
まとめ
科学の進歩により、人間を造ったのは神ではない、という事実を人々が受け入れはじめた時代。
一方で女性は知識を得ることに意味はない、とされた時代でもあります。
そんな無力に等しいと考えられている14歳の少女フェイスが、その聡明さでもって植物の謎を調べ分析し、一人の人間として人々の思惑を探り対処していく様は、手に汗握ると同時に痛快でもあります。
児童文学であり、ミステリーでもある読み応えある物語です。
<こんな人におすすめ>
嘘を養分にして育つ木を描いた物語に興味がある
女性が肩身の狭い思いをしている時代に真実を追い求める少女を描いた話を読んでみたい
19世紀のイギリスを舞台にした少女の成長の物語を描いた話を読んでみたい
フェイスの真実を見つけ出すための
強い思いと、科学への飽くなき探求が
すごい!そんでもってラストが爽快だ〜(≧∀≦)
ミステリーとしても児童文学としても
楽しめる読み応えある物語ね。
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