こちらは祖母の芝居観劇代行を
頼まれた女性が劇場で起こる謎に
遭遇するミステリーよ。
劇場で起こる謎?
どんなことが起こるんだ?
休憩時間中、不在の人の
席にあったペットボトルを
すり替えた女性がいたの。
劇が終わるとそのすり替えた
女性は席から動けなくなって…
ん?それって空席に座っていた
人物の飲み物に何かが入って
いたってこと?そりゃあ大いに
気になるな。
『歌舞伎座の怪紳士 』近藤史恵 (著) 徳間文庫
あらすじ
二十七歳の岩井久澄は、会社を辞めてから実家の家事全般と姉が飼いはじめた犬の世話をして暮らしている。
食材と日用品の買い物、犬の散歩以外はほぼ家にいる久澄に、姉の香澄経由で、祖母のしのぶの観劇を代行してくれないか、と頼まれる。
送られてきた歌舞伎座のチケットを手に劇場へ向かう久澄。
休憩時間、あるお客の不審な行動を発見。
何が起こったのか、と考え込んでいると、隣の席の老紳士が「ご気分でも悪いんですか?」と話しかけてきて…。
劇場内で観客の不審な行動を発見
職場でハラスメントを受け、会社を辞めた久澄。
実家で家事手伝いをしながらリハビリのような生活を送っています。
そんな久澄のもとに舞い込んできたのは、祖母・しのぶの観劇代行。
きっちりとした祖母を少々苦手に感じていた久澄ですが、タダで芝居が見れる貴重な機会でもあると考え、引き受けます。
久しぶりに少しおしゃれをして浮き立つ心で歌舞伎を楽しむ久澄。
しかし、幕の合間の休憩時間、きょろきょろとあたりを見回している女性が、座席に置いてある紙袋に手を入れ、自分が持っているペットボトルとすりかえたのです。
大変なことを目にしたのでは?と思い悩む久澄に、隣の席の老紳士が気づかって声をかけてくれました。
久澄は終演後、その紳士に自分の見たことを伝えます。
まとめ
劇場という非日常な空間は、重く沈み、硬くなった心にほんのりと熱を加え、やわらかくしてくれるようです。
芝居の世界を楽しむことで、少しずつ世界への扉を開いていく久澄みエールを送りたくなる物語です。
<こんな人におすすめ>
劇場で起こる謎を解くミステリーに興味がある
歌舞伎やオペラの知識を学びながら楽しめる小説を読んでみたい
近藤史恵のファン
歌舞伎やオペラなどいろんな
芝居に関する情報が得られるのも
楽しいな!
観客を魅了する舞台の力が
久澄の硬く閉ざされた心の
扉を開いてくれるようね。
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