こちらはシングルマザーの女性が
祖母の家計簿から当時の暮らしぶりや
生き方を知る物語よ。
祖母!ってことは昭和?
戦時中とかかな?
戦前からつけられていて
ちょっとした日常の出来事や
所感なども綴られているの。
ミニ日記みたいなもんだな。
世の中の様子や暮らしぶり、当時の
女性が何を思いどんな風に生きたか。
気になるぜ!
『彼女の家計簿』原田 ひ香 (著) 光文社文庫
あらすじ
二歳半の娘・啓を育てるシングルマザー、里里のもとに一通の封筒が届いた。
中には五十鈴加寿という女性が戦前からつけていたという家計簿が数冊入っていた。
出費明細のほか、日記のように描かれていた文章を読んでいた里里は、加寿とは男と駆け落ちしたと言われている祖母のことではないか、と考える。
家計簿から見えてくる加寿の生き様、そして里里や彼女の母親は、そこから何を得ていくのか。
戦前の家計簿に書かれていたこと
疎遠になっている母親から送られてきたのは古い家計簿でした。
加寿という人の夫の名は善吉。
それは母の実父、里里の祖父の名でした。
すると、これは家を出て男と駆け落ちし、心中したと親族の間で言われている祖母のことでは、と里里は思いあたります。
家計簿の中の加寿は教師として働き、仕事に喜びを感じ、家計を支えながら家事も頑張る真面目な女性。
とても男と逃げるような女性とは思えないのですが…。
また、この家計簿を里里の母に送ってきたのはNPO法人の代表、晴美。
活動に協力的だった加寿が土地と建物を提供してくれて、彼女の遺品から家計簿を発見したのです。
水商売や風俗関係で働いていた女性たちの力になりながら晴美も心の中に暗く、重いものを抱えていて…。
まとめ
妻・母・娘。
それぞれが通ってきた道のりは違えど、戦前の家計簿からは子への愛情、仕事への思いなど、現代と変わらない思いや悩みを持つ一人の女性の姿がうかがえます。
それでも目の前にあることをひとつひとつこなし、一歩一歩進んでいく加寿の誠実さ、ひたむきさは、私たちに感動と勇気を与えてくれるのです。
<こんな人におすすめ>
戦前からの家計簿からわかる女性の生き方に興味がある
女性が自分の力で生きていくことをテーマに描かれた話を読んでみたい
原田 ひ香のファン
加寿さん、波乱万丈な人生だなあ。
祖母、母、娘の三世代、それぞれの
悩みや喜びがグラデーションのように
描かれている、グッとくる話だな。
女であること、母であること、
娘であること。それぞれの葛藤と
愛情がこまやかに描かれた
感動の物語ね。
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