こちらは日本の中の「朝鮮」である
朝鮮大学校で学生生活を過ごす
18歳の女の子、ミヨンを描いた物語よ。
ほほう。東京にある学校だよな。
どんな特徴があるんだ?
会話も授業もすべて朝鮮語。
全寮制で外出には許可が必要。
規則も厳しいものがあるわ。
日本の大学とはだいぶ雰囲気が
異なるようだな。そんな中で
ミヨンはどんな青春を送るんだろう。
『朝鮮大学校物語』ヤン ヨンヒ (著) 角川文庫
あらすじ
「来る場所、間違ったかな」大阪下町育ちの18歳、ミヨンが入学したのは、高い塀の中にある朝鮮大学校。
全寮制、日本語禁止、無断外出厳禁…。
塀の中のルールに苦戦し、外の世界と出会い、そして恋に巡り合う、そして外の世界を知ることで直面する試練とは。
予想外の学校生活に驚くミヨン
おしゃれで行動力のある女の子、ミヨンは東京に来たら大好きいな演劇をたくさん見るんだ!と張り切っていました。
放課後の外出は6時まで、それより遅くなる場合は何人もの承認を得た届け出を事前に出さなくてはなりません。
先輩の誘いで六本木で芝居を見て、さらに新宿での劇団の打ち上げにも参加したミヨンは門限に遅れてしまいます。
どうせなら、と大学近くのラーメン屋で腹ごしらえをしていると、もう一人のお客がお金が足りずに困っていました。
立て替えてあげたことをきっかけに、この青年・黒木裕と親しくなります。
彼の自由で分け隔てないその感覚が好ましくもあり、違和感を覚えることもあり…。
そして学校の祖国訪問の中で、北朝鮮に住む姉に会えることをとても楽しみにしていたミヨン。
しかし到着してみいると「姉一家は引っ越した」と言われて…。
まとめ
日本の中の「朝鮮」である朝鮮大学校での様子と、ミヨンの夢、恋、国境を超えた家族との別れを描きます。
自由な日本人大学生を横目に、かなり厳しい環境で日々を送るミヨン。
これだけの抑圧があったのであれば解放されたときのパワーは凄まじいものになるのでは。
「自由」とはいったい何なのかを考えさせられる物語です。
<こんな人におすすめ>
朝鮮大学校は何を学びどんな生活をしているのか知りたい
自由とは何かを身を持って感じる学生の物語を読んでみたい
北朝鮮に暮らす家族に会いに行く話に興味がある
日本で暮らすからこそ自由だと
思っていたけど、必ずしも
そうとは言い切れないのかも。
分断された家族との面会など
私たちが知らなかった朝鮮の一部を
見せてくれる物語ね。
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