こちらは追い詰められた人間と
彼らの生きる背景が迫力ある
筆致で描かれた6編の短編集よ。
ほほう。どんな話があるんだ?
心を寄せいていた姫君を喰らう
虚無僧や、巨大な鯨と戦う話
などね。
え?食べる?(゚ロ゚)
鬼の話かなんかなの?
モツ焼き屋で出会った客同士の
話の中で、虚無僧が自分の過去の
話として語り始めるのよ。
モツ焼き屋で!?内臓が好きなの!?
やっぱ鬼の話なんじゃ…((;゚Д゚)
『姫君を喰う話―宇能鴻一郎傑作短編集―』
宇能鴻一郎 (著) 新潮文庫
あらすじ
煙と客に満ちたモツ焼き屋で隣に座った虚無僧。
酔っていた私は彼に、モツ焼き屋で内臓を喰うたびに感じていたことを話したくなった。
嫌悪を示すかと思われた虚無僧は「その通りです」と理解を示し、己のことについて話しはじめた(「姫君を喰う話」)。
明治のはじめごろ、肥前平戸島和田浦で何代にもわたる巨鯨と人間との戦いを神話にまで高めた芥川賞受賞作(「鯨神」)。
追いつめられた人間と彼らの生きる背景が迫力ある筆致で描かれる全6編。
モツ焼き屋で思うことを虚無僧に語る
新鮮なモツと甲州葡萄酒が置いてある、気に入りのモツ焼き屋で内臓を味わっていると、隣の席に虚無僧が座ります。
生臭坊主をひとつ攻撃してやるかと考えた私は、「そのタンは、なめてみても噛んでみても、女の舌と、まったく同じ舌ざわりじゃありませんか」とモツ焼き屋で喰うたびに感じていたこと、そして自分の性癖を虚無僧に話します。
意外なことに虚無僧は私の話に理解を示し、自分の名を名乗り、さる高貴な姫君に仕えていた時のことを話しはじめるのです(「姫君を喰う話」)。
明治のはじめ頃、大きな鯨が網にかかりましたが、はずれて逃げ三日三晩走り多くの男たちの命を奪いました。
小さな頃から鯨神と呼ばれるこの大鯨を捕らえ、祖父・父・兄の仇をうて、と言われ続けた男が、とうとう鯨神と対決する時を迎え…(「鯨神」)。
まとめ
愛しさのあまり喰いつくしてしまいたいという欲望。
命をかけた巨大鯨との戦い。
どの物語も臨場感に溢れ、その世界へ読者を否応なしに引きずりこみます。
見たことのない人間の底の部分を見せつけられる、六編の物語です。
<こんな人におすすめ>
古典や土着の物語を題材に迫力ある描写で描かれた物語を読んでみいたい
人間の感情の深淵を鋭く抉る話に興味がある
宇能鴻一郎のファン
凄まじい情念や感情のうねりが
押し寄せてくる!!飲み込まれて
しまいそうな筆力だ。
物語の世界にい引きずり込まれる
迫力ある描写に息を呑む物語ね。
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