こちらは本が排除された
世界を旅する少年と、本にまつわる
ものを検閲する少年が森で起こる
死体の謎を解き明かそうとする
ミステリーよ。
本がない世界だって!?
人々はどんな風に暮らして
いるんだ?
野蛮な思想を絶ったために
犯罪が起こらないの。
罪を犯すという概念自体が
存在しないのよ。でもそんな世界で
首なし死体が見つかるの。
犯罪が概念がないのに!?
なぜそんな事態になるんだ。
そんで少年二人で解決できる
ことなんだろうか。気になるぜ!
『少年検閲官』北山 猛邦 (著) 創元推理文庫
あらすじ
たった一人の肉親である父親を亡くし、一人で旅を続けている十四歳の幼年、クリス。
ロンドンからこの町へとやってきたクリスは、森にいる「探偵」と呼ばれる存在を耳にする。
探偵は森へやってきた者の命を奪い、また町の家の扉や壁に赤い十字架のような印をつけるという。
そんな中、クリスはミステリを検閲するために教育された少年・エノに出会う。
森で発見された首なし死体や、家につけられた謎の印を探ろうとするクリスだが…。
本のない世界で起こる殺人事件
何十年も前に行われた一斉梵書により、全時代の野蛮な思想は絶たれ、あらゆる凶悪な犯罪はなくなったことになっている世界。
しかし、クリスが訪れたこの町では「探偵」と呼ばれる存在がいて森に迷いこんだ大人を殺し首を切り取るのだ、と言われています。
しかし、クリスが知る「探偵」は事件を解決に導く人間です。
町の人々は「ミステリ」を含むあらゆる書物を読まなくなったために、犯罪や死、暴力、感情の動きが理解できません。
ただ、ガジェットという記録媒体にはミステリの要素を内部に保存でき、それを手にした者は殺人の方法や人目を欺くトリックを目にすることができるのです。
そして森で起こった殺人事件の捜査に現れたのは少年検閲官・エノ。
彼によれば事件解決の一歩手前まで来ていると言うのですが…。
まとめ
あらゆる本を排除し、情報はラジオのみ、と言う世界。
凶悪で暴力的なものを目にしないかわりに、起こった物事に対する想像力や思考する力は失われてしまっているようです。
本や本に関わるものの処分に何ら感情を持たないエノと、ミステリを生み出したいクリス。
二人の今後の関係も気になるミステリです。
<こんな人におすすめ>
本を読むことを禁止された世界で起こる殺人事件を描いたミステリに興味がある
本が人々に与える影響を描いた物語を読んでみたい
北山 猛邦のファン
本がない世界の人々の感情の鈍化って
ヤバくないか?しかしこんな特殊な
世界で、魅力的な謎ときっちりした
トリックを仕込んでくるのはスゴイな。
本好きにとっては本がない世界なんて
考えられないわよね。裏を返せば本が
人々にどれだけの恵みを与えてくれるのか
ということが感じられる物語でもあるわね。
ミステリーとしても読みがいのあるお話よ。
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