こちらは妻が余命宣告を
受けたことで家事や
家族のことに奮闘する夫の姿と
夫婦や家族の絆を描く物語よ。
それは大変だな。
どんな家族なんだ?
夫はこれまで奥さんの手伝いとか
したことがあったのかな。
典型的な昭和の親父、という
様子で家事は全くできないし
娘たちのことも妻にまかせきり
だったの。
うわあ その状況だと
いろいろと大変そうだな。
奥さんも無理しないといいけど。
『妻の終活』坂井希久子 (著)祥伝社文庫
あらすじ
今年七十になる廉太郎は、新卒から勤め続けてきた製菓会社で今も嘱託として働いている。
そんなある日、四十二年連れ添った妻・杏子が末期ガンで余命一年の宣告を受ける。
会社一筋で生きてきて家のことは何ひとつできない廉太郎は、妻や娘たちから家事のことをあれこれ言われてもへそを曲げてしまう。
娘からは母を解放してやれと責められ、妻のいなくなった生活を想像し、がくぜんとする廉太郎。
長年連れ添った夫婦の後悔と絆、そして愛を描く物語。
妻の余命宣告にがくぜんとする廉太郎
「病院についてきてくれませんか」という杏子に、仕事を休めないからと断った廉太郎。
結局妻は、病院へは結婚して子供もいる長女の美智子と向かい、そのまま美智子の家へ泊まると言います。
帰ってきたのは四日後で家のことは何ひとつできない廉太郎は杏子に当たりちらします。
そんな杏子の口から出たのは「ガンで余命一年」という言葉。
そして美智子からは「もうお母さんを解放してあげて」と。
セカンドオピニオンを受け、別の治療法を選んでも望ましい結果が出るとは限らない。
杏子は緩和ケアを望んでいる、と独身で冷静な次女の恵子から聞き、廉太郎は会社を辞め、杏子を看護することを決意。
容赦なく進行していく妻の病状を目にしながら、今まで気づかなかった家のこと、家族のことに新たな気づきを得る廉太郎ですが…。
まとめ
典型的な「昭和のオヤジ」である廉太郎は、家と娘たち、近所付き合いなどは妻の杏子に100%まかせっ放しで、感謝の言葉のひとつもありません。
そんな廉太郎を長女の美智子は嫌悪し責め立て、次女は何も期待していないから怒ることもない、最善策を考えよう、と提案します。
怒りやあきらめから理解したり、変わることのできなかった夫婦が病をきっかけにまた手を取るのは、やはりその手を離したくなかったから。
言葉にならない夫婦の絆を感じさせる物語。
<こんな人におすすめ>
妻が余命宣告を受けた夫の心情と状況を描いた物語に興味がある
家庭のことを省みることのなかった男が妻や家族に改めて目を向けていく物語を読んでみたいい
坂井希久子のファン
一緒にしてきた時間が
夫婦を家族を作り上げてきたんだな。
余命宣告後の時間は、二人の、そして
家族の新しい形を作り上げる時間
だったのかも。
外側から見ただけではわからない
夫婦の『絆』とういものを
感じさせてくれる感動の物語ね。
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