こちらは2095年の東京を描いた物語よ。
壁によって分断されていて
人々は不眠に悩まされているわ。
東京が壁によって分断?
まるでベルリンの壁だな。
睡眠からの覚醒を促すタブレットの
開発担当となった若者が様々な
人物と出会っていくの。
不眠に悩む人が多いのに
覚醒を促すタブレットを開発?
いろいろと謎が多いな。
どんな出会いが待ち受けているんだろう?
『天使も怪物も眠る夜』吉田 篤弘 (著) 中公文庫
あらすじ
2095年、東京は「壁」によって分断され、人々は不眠に悩まされていた。
そんな中、睡眠コンサルタント会社で働くシュウは新しい部署に配属される。
その任務は睡眠からの覚醒を促すタブレットを開発すること。
未完に終わった映画『眠り姫の寝台』のポスター、脚本、出演女優、強力な眠りを誘う酒に、壁で生まれつつある怪物。
謎めいた多くのモチーフと登場人物たちが網の目のように絡まりあい、新しい物語を紡いでいく。
眠る姫は何を意味するのか
睡眠コンサルタント会社の社員であながら、なぜかたった一人で覚醒を促すタブレット開発の役を担うことになったシュウ。
アイデアのためのヒントを求め会社の資料館へ向かい、館長の谷井口さんに相談すると『いばら姫』および『眠り姫』に関する資料を勧められます。
しかしそれらの資料はライバル会社に一括して貸し出されていました。
谷口さんの私物であるグリム童話の中にあった『いばら姫』を読んだシュウは、いくつかの疑問点を持ち、書き出していきます。
「百年の眠り」とは何なのか…。
自分の生まれた年に刊行された、自分が書いた覚えのない小説を手にした三文小説家、その本を送った探偵をしているシュウの姉、幻の酒を探す音楽家。
それぞれが求めていく事象が、ひとつの出来事につながっていく。
まとめ
大きな壁によって分断された未来の東京の人々は絶えず吐き出される情報により不眠状態に。
壁の壊れた部分には様々なゴミが投棄され、怪物が生まれつつある、という説も。
その状態に変化を与えるのは『眠り姫』に登場する王子。
彼が最終的に手にしたものは新しい世界の始まりだったのかもしれません。
謎と冒険に満ちた未来の「眠り姫」を描く物語です。
<こんな人におすすめ>
東京が壁により東西に分断された未来の物語に興味がある
眠りや睡眠をヒントに冒険や新しい世界の始まりを描いた話を読んでみたい
吉田 篤弘のファン
近未来SF要素がありつつ
童話のような雰囲気もある。
なんとも不思議な物語だな。
謎と冒険に満ちた、どこか懐かしさも
感じるような物語ね。
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