こちらは猫に似た姿と
自由奔放な言動と行動が
特徴的な猫丸先輩が活躍する
ミステリよ。
気まぐれに動き回って
いるようで鋭い推理を見せる
猫丸先輩だな!今回はどんな謎が?
看板の底に貼り付けられた謎のメモ、
若者たちが夜になると庭に侵入してくる
謎、などね。
うわあ それはどんな真相が
隠されているのか気になるな!
猫丸先輩の鮮やかな推理に期待しよう。
『月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言 猫丸先輩シリーズ』
倉知 淳 (著) 創元推理文庫
あらすじ
小柄で童顔、大きなまん丸飲の目と、ふっさりと垂れた前髪がまゆの下まで下がっている。
だぶだぶの黒い上着を羽織り、しなやかな猫を連想させる猫丸先輩。
彼が現れるところには、不可思議な出来事が。
看板に貼り付けられた謎のメモ、恐怖の写真の理由、友人からもらった意味不明の贈り物、夜毎庭にやってくる異なった顔ぶれの若者たち。
人なつこい様子でするりと人の間に入り込み、巧みな話術で聞くものを惑わす。
と思えば切れ味鋭い推理を披露する猫丸先輩のミステリ。
謎のメモに隠された真相とは
ほどけた靴紐を結ぼうと腰をかがめた八木沢は、目の前の看板の底面に一枚のメモが貼り付けてあるのを発見。
何気なく手に取り眺めてみましたが、意味のわからないアルファベットの羅列だったため、元の場所に再び貼り付けます。
カフェで仕事をしていると、先ほどの看板のメモを取る外国人の姿が。
数日後、同じ外国人を再び見つけるのですが、彼は交通量調査員に何やら話しかけては満足そうに頷いています。
彼は一体何をしているのか?
食事の席でこの話をすると、猫丸先輩は「お前さん、ひょっとしたらとんでもないものを目撃しちまったのかもしれないぞ」と言い出して…(「ねこちゃんパズル」)。
月下美人が咲くのを楽しみにしていた克也の母親が退院することなく亡くなりました。
ふと思いつき、母が丹精込めて育てた庭を照らす庭園灯を設置。
すると毎晩、異なる顔ぶれの若者が庭に侵入してくるように。
理由を聞こうにも彼らは謝りながら逃げてしまいます。
そこへ「どうかしましたか」と声をかけてきたのは猫丸先輩。
その飄々としいた様子につい事情を話す克也。
大きな目を輝かせ、興味津々の様子で聞いていた猫丸先輩は「ははあ、なるほど、そういうことでしたか。」と言い、不法侵入が後を絶たずエラい目に遭ったというお宅の話を語り出し…(「月下美人を待つ庭で」)。
まとめ
落語のような語り口で「何の話?」というような話題を話し始めたかと思ったら鮮やかに真相に辿り着くという、しなやかでアクロバットのような展開は相変わらず切れ味抜群。
猫丸先輩の手にかかると、何気ない日常の謎がこんなにも広がりを見せ、何か大きなものになったりならなかったり。
その巧みな話術に引き込まれ、騙されるのもまた楽しい、猫丸先輩の魅力がたっぷり詰まったミステリ。
<こんな人におすすめ>
猫のような風貌、気まぐれでつかみどころのない探偵が日常の謎を解くミステリを読んでみたい
猫丸先輩シリーズのファン
倉知 淳のファン
ええっ!?というところに
導いておきながらガクッと
ハシゴを外されるカンジもまた楽しい!
さすが猫丸先輩だな〜♪
巧みな話術、人懐こくて気まぐれ。
そんな猫丸先輩に振り回される
楽しさも味わえるミステリね。
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