こちらは祖母の駄菓子屋を継ぎ
店の一角でこども食堂も営む
楓子と、人々との交流や出来事を
描く「かすがい食堂」シリーズの
第三弾よ。
シリーズ第三弾か。
かすがい食堂のほうは順調
なのかな?
そうね。ヤングケアラーと
思われる女子高生が気になり
楓子は声をかけるのだけれど
彼女の言葉に落ち込んでしまうのよ。
大人を落ち込ませてしまうような
女子高生の発言とな??
楓子は彼女の言葉に何を感じ
どうしていくんだろうか。
『かすがい食堂 夢のゆくさき』
伽古屋 圭市 (著) 小学館文庫
あらすじ
祖母の駄菓子屋を継ぎ、その店を使って子ども食堂を始めた春日井楓子。
みんなで材料の買い物をして料理する、この「かすがい食堂」も三年めを迎えた。
ある日、商店街で気になる女子高生を見つける。
彼女がヤングケアラーであると感じ、楓子はかすがい食堂に参加してみないかと声をかける。
何度か断られたものの、弟と参加してくれた女子高生、三千香に「良いことをしている自分が好きなのでは」という言葉を投げられ、楓子は落ち込んでしまい…。
楓子の思いは彼女に届くのか。
子ども食堂をするのはいい気分に浸りたいから?
肉屋のおばちゃん情報で、女子校生の三千香がヤングケアラーらしい、ということを聞き、かすがい食堂へ参加してみないか、と誘ってみた楓子。
すると三千香は確かに体の不自由な母に代わり、家事全般をこなしているが「必要性を感じない」「けっこうです」とバッサリと断られます。
それでも気負い過ぎた彼女のことが心配で、試すだけでもと再び声をかけ、何とか参加してもらうことに。
中学一年生の弟、璃久とかすがい食堂へやってきた三千香は、同年代の女の子たちとも会話を交わし、その姿にホッとする楓子。
最後に参加した感想を求めると、三千香の口から出たのは「子ども食堂ごっこをして、いいことをしている気分に浸っているだけじゃないんですか」という辛辣な言葉。
うまく返せなかった楓子はその言葉が胸に刺さり、このまま子ども食堂を続けていってもいいものなのだろうか…というところまで考えてしまいます。
そんなある日、弟の璃久がやってきて、自分だけ子ども食堂に参加することを楓子に伝えました。
そして楓子が出した結論とは…。
まとめ
ゆるいつながりで子ども食堂を続けてきた楓子。
少しでも子どもたちの助けになれば、と取り組んでいましたが、真正面から否定され改めて子ども食堂について思いを巡らせます。
物語の中には「しつけ」としながら子どもを傷つける言動や行動に出会うものも。
そこからヒントを得て、三千香のもうひとつの顔が明らかになっていくという、伏線の張り方が見事なミステリ風味も味わえます。
作ること、食べること、話すこと。
家族以外でゆるやかにつながり、一息つける場所がある。
子どもにとって必要なのは、そんな「場所」なのかもしれません。
心もお腹も満たされる、あたたかな物語です。
<こんな人におすすめ>
ゆるやかな繋がりで運営されるこども食堂で起こる、人間模様を描いた話を読んでみたい
『かすがい食堂』シリーズのファン
伽古屋 圭市のファン
家族も大事だけどそれだけでは
息がつまることもあるよな。
家以外で気のおけない仲間と
あたたかな食事を共にできる場所が
あることは、子供にとって
大切なことかもしれないわね。
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