『ストロボ』 真保裕一 著 文春文庫
「BOOK」データベースより
カメラマンの喜多川はある日、若い女性から余命短い母親の遺影用の写真を撮ってほしいと依頼される。母親はかつて喜多川に撮影されたことがあるというが、全く記憶にない。一体どんな因縁があったのか―(「遺影」)。50歳から22歳まで、フィルムを巻き戻すようにさかのぼって人生の哀歓を描き出す傑作。
カメラマンの人生を振り返っていく
50代、40代、30代、20代…各時代にどんな人と出会い、どんな出来事があって、今の価値観を得るようになったのか。
強いだけではない生々しさがリアルな人生を浮かび上がらせる
ひとつひとつ、男の人生が紐解かれていく様子は、とても読み応えがあります。順風満帆だった時代、そこから少しずつ時代の流れとの違いを感じはじめ、自分の居場所を確保しようと必死になっていきます。
まとめ
カメラマンの喜多川が写し出してきたのは何だったのでしょうか。男のプライドや嫉妬、僻みなどに時に奮い立ち、時に苦しみながらも、人生の一部分を切り取っていく喜多川。命を終えようとする被写体から見えてくるのはそんな自分もひっくるめた「生きている」という力強いメッセージなのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
グッとくるヒューマンドラマを読みたい人
プライドを持って仕事をしている人
いろいろ事情があってプライドを置いてきちゃって仕事をしている人
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