こちらは小学六年生の
男の子と85歳の老人の友情を描く
物語よ。
そんなに歳が離れていて
友達になんてなれるのか?
感覚なんかも全然違いそうだけど。
おじいさんの住まいに通うことに
なった彼らは、おじいさんと
いろいろな話をするの。おじいさんが
戦争で家族を失ったこととかね。
なるほど。身近な人に起こった
体験って、それだけで他人事ではなく
近いものに感じるよな。
彼らとおじいさんのやりとりは
どんなものだったんだろうか。
『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』
椰月 美智子 (著) 双葉文庫
あらすじ
小学六年生の仲良し三人組、拓人、忍、宇太佳はスケボーにハマっている。
練習していた公園がスケボー禁止となり、途方にくれた三人は花木神社の前の通りを使うことを思いつく。
練習をしていると管理人と思われるおじいさんが話しかけてきた。
スケボーに興味を示したおじいさんに渋々貸してあげると、おじいさんは転倒して骨折。
三人はこのおじいさん、田中喜一さんの骨折が治るまで通いでお世話をすることになり…。
11歳と85歳の友情
「ちょっと足を乗せてみてもいいかな」という田中さんに、断れずに頷きスケボーを渡した拓人。
田中さんはその場で派手に転倒し、右手首を骨折してしまいます。
拓人、忍、宇太佳の母たちは激怒し、田中さんのケガが治るまで通いで身の回りの世話をするように彼らに言い渡します。
神社の管理人である田中さんの家は小さな二間。
三人は神社の落ち葉清掃から開始。
三人に感謝を示し、お菓子やジュースを用意してくれて、彼らの話をにこにこと頷きながら聞いてくれる田中さんは、本当にいい人でした。
塾や習い事で忍や宇太佳が行けない日も、拓人は一人で田中さんの家に行きました。
拓人は兄のように受験していと考え、やっていたサッカーをやめて塾へ通いましたが、思うように成績は伸びず受験を断念。
習い事をはじめる気力もなく、何となくモヤモヤと日々を過ごしていたのでした。
そんなある日、拓人は田中さんが戦争体験の語り部であることを知り、自分の小学校でも話してもらうことはできないだろうか、と考えます。
忍や宇太佳と協力し、講演の内容を企画し、クラスの皆に提案する拓人ですが…。
まとめ
11歳と85歳。
そんな彼らのぎこちない会話や態度から始まった関係は、回を重ねるにつれ親密になっていきます。
空襲により、市内で二十三人が亡くなったことを聞き、拓人たちは意外と少ないなと感じます。
しかしその二十三人のうちの二人は、当時拓人と同じ年だった田中さんの母と妹だったと聞き、途端にリアルな重さと痛みとして彼らにのしかかってきました。
人を知ることで時代を知り、そして人の生と死を思う。
そんなことを伝えてくれる、感動の物語です。
<こんな人におすすめ>
小学生と老人の友情を描いた物語に興味がある
老人との交流の中で戦争についてゆるやかに考えさせてくれる本を読んでみたい
椰月 美智子のファン
田中さん いい人…(´;ω;`)ブワッ
こんないい人の家族を奪った
戦争ダメ ゼッタイ(>< )o
多くの悲しみを体験し
大きな優しさを持つ田中さんと
少年たちの友情に感動する物語ね。
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