こちらは70歳になった女性が
これまでの人生を振り返り
残りの人生をやり直そうと
奮闘する物語よ。
人生100年時代って言うしな。
新しい趣味を始めてみるのも
いいんじゃないか?
ところが主人公はプライドが
高いの。ウォーキングやカメラなど
周囲から勧められても「年寄りくさい」
と乗り気になれずにいるわ。
ほおお。なるほどね。
70歳にして自分探しを始めたわけだ。
そもそも主人公はどんな生き方を
望んでいるんだろう?
『今度生まれたら』内館 牧子 (著) 講談社文庫
あらすじ
新聞記者から取材を受け、自分のコメントが夕刊に載った佐川夏江は、そこに記された己の年齢を目にしてショックを受ける。
同年代でもなお一線で活躍し続ける女性もいる中、自分の可能性を生かすことなく七十という取り返しのつかない年齢になってしまった。
「今度生まれたら」ふとつぶやき、夫の寝顔を眺める。
「この人とは結婚しない」。
これまでの生き様を振り返りつつ、少しでも人生をやり直そうと夏江はあがく。
残りの人生を現状のまま生きるのか
団塊世代に生まれた夏江。
自分の意見を主張する女は嫌われる、という空気の中で育ちます。
先生から国立大学の受験を勧められるも、短大を受験し、就職。
同じ会社のエリート社員であった現夫・佐川和幸に照準を定め結婚まで持ち込みました。
息子二人に恵まれた専業主婦として充実した日々を送ってきたと言えるけれど、気がつけば七十歳。
もはややり直しの効かない年齢に達したと気づいた夏江は愕然とします。
趣味を見つける?人の役に立つ?
そうやって世間が押し付ける老人の枠にはまりたくない、と考える夏江。
姉や姪と毒を吐いたり、彼女たちからアドバイスを受けたりしながら、何とか新しいことを見つけ出し、取り組んでいこうとします。
そんなある日、会社員時代に彼女に気のある素振りを見せていた男性社員が成功した造園家としてテレビに出演しているところを目にします。
彼から何か園芸関係の仕事を受けることはできないだろうか。
そう考えた夏江は彼と食事の約束を取り付けます。
ひとしきり食事と思い出話を楽しんだ後、いざ話を切り出そうとした夏江ですが…。
まとめ
上場企業のエリート社員と結婚し、二人の息子を育てた専業主婦。
当時の「勝ち組」路線を走ってきた夏江は、結婚生活の間にあったいくつかの嵐も歯を食いしばって乗り越えてきました。
自分で選んできた道ではあるものの、七十という年齢を前にして、少なくないこの先の人生をこのまま今の延長で過ごしていいのかと考えます。
その時から出会う人たちが夏江の自らの能力を思い出させ、動き出す力となってくれます。
「いくつになっても人生はやり直せる」ことを力強く納得させてくれる、元気が出る物語です。
<こんな人におすすめ>
70歳の専業主婦が今から人生をやり直そうとあがく物語に興味がある
あの時こちらを選んでいたら今の人生はどうなっていただろうかと考えることがある
内館 牧子 のファン
後悔しているわけじゃないが
このままではいかん!という
気持ちに共感する読者は
多いんじゃないかなあ。
人生をやり直すって
自分が好きなことを改めて
見つめ直すことなのかも
しれないわね。
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