こちらは迷宮入りになりそうな
未解決事件を担当する刑事が
地道に捜査を続け事件を解決に
導くミステリーよ。
ほうほう。初動捜査から時間が
経つと事件解決は難しくなりそうだが。
捜査しているのはどんな事件なんだ?
居酒屋で強盗犯が客の二人を殺害し
現金を持って逃亡したという
強盗殺人事件よ。不良外人の犯行と
思われたのだけど犯人の足取りが
つかめずにいたの。
現場で手詰まりと判断された
事件か。それをどうやって捜査して
犯人につなげていくのか。気になるぜ。
『震える牛』相場英雄 (著)小学館文庫
あらすじ
捜査一課継続捜査班に勤務する田川信一のもとに、一件の未解決事件が持ち込まれた。
二年前、中野の居酒屋で死者二名、負傷者一名、現金強奪という強盗殺人事件。
犯人は外国人だとされ、被害者二名のつながりも見られず、犯人は逃走したまま現在もつかまっていない未解決事件。
関係者に対して丹念に聞き込みを行い、手帳に書き込んでいく田川。
その裏には巨大な企業と食肉産業の苦境、加工食品の闇が潜んでいた。
二年前には出なかった意外な真実が次々と明るみに
アルコール性肝障害となり、迷宮入り濃厚な目立たない未解決案件を扱う捜査一課継続捜査班に配属となった田川。
所轄に戻してくれても構わない、という彼の要望は上司に退けられています。
今回再捜査を行うのは、二年前に起こった強盗殺人事件。
全身黒ずくめ、目出し帽をかぶった男が「マニー、マニー」と刃物を持って店内に入り、店長の手を刃物で切りつけ現金を奪い、それぞれ一人で来ていた男性客二名の首を切りつけ殺害し、逃走。
不良外国人による犯行と見立てた当時の捜査は手がかりを掴めず未解決となっています。
被害を受けた店長から当時の状況を確認すると、犯人は刃物を逆手持ちにしていた可能性が出てきます。
さらに近隣のスナックのチーママから「女が運転するベンツに乗って犯人が去っていくのを見た」という証言が。
軍隊経験者などに見られる刃物の「逆手持ち」、人を傷つけ殺してまで現金を奪いながらベンツで逃走するという違和感。
「地取りの鬼」と呼ばれる田川が、被害者と犯人の足取りをひとつひとつ確認し、手帳に書きつけていきます。
そのメモが大きくふくらんだ時、事件に潜む驚きの真実が明らかに…。
まとめ
警察の鑑取り違い、高圧的な態度によって取りそこねた情報を、田川は関係者たちとしっかりと向き合いながら、ていねいに集めていきます。
大手ショッピングモールの進出で商店街がつぶれ、画一化されていく街並み、そしてデフレの中でものを売り続けていくこと、安心な食品を扱うプライドと利益が出ない苦しみ。
様々な社会の闇が絡まり合い、生産者、販売者、消費者それぞれの立場で考えさせられる社会派ミステリーです。
<こんな人におすすめ>
食品偽装と未解決殺人事件が絡んだ社会派ミステリを読んでみたい
ショッピングセンター進出による地元商店街の苦境を描いた話に興味がある
相場英雄のファン
単なる強盗殺人事件と思いきや
裏に隠された食品業界の闇の
深さよ…( ºωº ; )
現場の状況を見極め、関係者たちと
しっかりと向き合い、その奥深くまでを
見ようとするからこそ真実にたどり着けるのかも
しれないわね。
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