こちらは紙のスペシャリストが
『伝説のモデラー』とタッグを
組んで謎を解決していく
ミステリーよ。
ああ、前回第二弾のほうを
先に紹介しちゃったやつね。
どちらから読んでも楽しめるけど
こちらから読むとよりしっくり感が
増すかも。
そうね。第二弾のほうは短編集
だったけれど、こちらはある
人物が失踪した件について
じっくりと探っていくお話よ。
失踪!何やら事件の匂いがするぞ。
渡部と土生井の出会いなんかも
気になるな。
『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』
歌田 年 (著)宝島社文庫
あらすじ
西新宿の一角に構える「渡部紙鑑定事務所」は、持ち込まれた紙の種類を調べ、予算に合わせた紙類の提案を行う紙専門の個人事務所。
紙鑑定士である渡部のもとへ、探偵事務所と勘違いしてやってきた女性が恋人の浮気調査の依頼をしてきた。
手がかりは彼が急に作りはじめたという戦車のプラモデルの写真。
かつての人脈をたどって伝説のプラモデル造形家・土生井と出会い、調査を進めた結果意外な真相に辿り着く。
さらに妹の行方を捜してほしいという女性が持参してきたのは、妹が残していったというディオラマ。
渡部は再び土生井とタッグを組み真相を探るのだが…。
のこされたディオラマに隠された秘密とは
探偵事務所と間違えて渡部紙探偵事務所へ入ってきた女性は、とにかく話を聞いてくれ、と恋人の男性の浮気についての疑惑を渡部に話します。
探偵ではないので…と言いつつ見せてもらったプラモデルの写真から、かつてやりとりのあったプラモデル雑誌を扱う出版社の人物から何か聞けるのでは、と考えます。
編集部経由で紹介されたのは伝説のモデラーと呼ばれる土生井。
早速連絡を取り付け、土生井の自宅へ向かい例の写真を見せると「戦車が二台か。手前は”ヒトマル式”で牛色は”メルカバ”だな」と戦車の型から塗装、ディオラマの作成テクニックまで幅広く解説します。
土生井との会話から浮気相手を推測し、証拠の写真を撮影した渡部は依頼者に報告。
依頼者の紹介で数日後にやってきた第二の依頼は、行方不明の妹を探してほしい、というもの。
妹が残していったという民家のディオラマを手に、再び土生井のもとへ向かう渡部。
モデルとなった家を探り出すも、すでに家は取り壊された後。
ここで手がかりは尽きたかと思われたのですが、新たなつながりの糸が発見されて…。
まとめ
引きこもりのような伝説のモデラー土生井は、渡部の協力を得てスマホを手に入れLINEを使うようになってから物語のスピードも飛躍的に。
ディオラマの示唆するものを見つけられるのか、事件を未然に防ぐことはできるのか、ハラハラドキドキの展開でページをめくる手が止まりません。
紙の世界のプロとプラモデル界のプロが手を携えて謎を解く、新感覚のミステリーです。
<こんな人におすすめ>
紙を鑑定するプロと伝説のプラモデル造形家が活躍するミステリに興味がある
ジオラマに隠された事件の謎を解くミステリを読んでみたい
紙やプラモデルに関する深い知識が溢れる物語に興味がある
土生井ってスマホ使えなかったの!?
というか苦労したんだな 土生井…(T ^ T)
ディオラマからつながる知識の
広さにびっくりするわよね。
そして謎が明らかになっていく
後半はサスペンスとして
ドキドキの展開も楽しめる
読みがいのあるミステリーよ。
シリーズ第二弾『紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪』のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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