こちらはあるアイドルの
推し活をしている女子高生が
推しの炎上でいろいろと考えるお話よ。
推し活ってライブ見に行ったり
CDやらグッズ買ったりするから
結構お金と時間のやりくりが
大変そうだな。
主人公もバイトをしながら
推し活のためのお金を稼いて
いるわ。でもバイトでは失敗が
多いし学校でも授業に集中できないの。
ううむ。多くの人が普通に
できることでもそれが難しいって
人もいるよな。そんな彼女にとって
「推し」とはどんな存在だったんだろう?
『推し、燃ゆ』宇佐見 りん (著) 河出文庫
あらすじ
高校生のあかりはアイドルグループ「まざま座」のメンバー、上野真幸のファン。
推しのインタビューや動画をチェックし、彼の行動や言動を解釈し、彼と同じ景色が見たい。
そんな思いからバイトに励み、その思いをブログに綴っていたあかり。
ある日、ファンを殴ったとして推しが炎上。
混乱した思考のなか、推し続けることだけは決まっていた。
推しを解釈し、推しが見る世界を自分も見たい
子供の頃に見たピーターパーンの舞台のDVD。
ふと手に取り、映し出してみると、そこには当時十二歳でピーターパンを演じた推しの姿が。
その彼に痛みのような衝撃を受け、その役と同じように呼吸をし、一体化しようとしている自分にい気づいたあかり。
十六歳のその時からあかりの「推し」は上野真幸というアイドルグループのメンバーになります。
その真幸が女性を殴ったというニュースが流れ、SNSは大炎上。
嘆く者、応援する者、状況を推測する者、罵倒する者…。
多くの言葉に晒され推しは何を感じているのかと考えるだけでも胸が痛みます。
もの事をすぐに忘れ、体が重くてダルいと感じることが多いあかりは、推し活のために居酒屋でバイトをしていますがここでも失敗ばかり。
学校の進級も危うい状況、家庭内もピリピリしている中、推しの輝きを、そして彼と同じ景色を見て彼が生きていると感じ、自分自身も生きていると実感することができるのです。
そんな中、今回の騒動により、グループは解散、推しは引退するという情報を耳にして…。
まとめ
生きづらさを抱えるあかりにとって推しは生きるための糧。
推しの行動や言葉を集め解釈し、彼の見る世界と同じものを見て、感じたい。
それはとても純粋で切実な思いでもあります。
軽やかに歌い踊る推しとつながることで自分を動きにくくさせる己の体や周囲の困難な状況を乗り越えていけるように感じるのかもしれません。
推しという支えがこの世を生き抜く武器になることを描く、現代を切り抜く物語。
<こんな人におすすめ>
推しをへの思いを描いた物語に興味がある
生きる糧である推しの炎上で起こる心の動きを描く話を読んでみたいい
宇佐見 りんのファン
推しの力は偉大なんだよな。
存在するだけで元気の源に
なってくれるわけだ。でもその存在が
無くなったとしたら…
推しと同じ景色を見ることで
自分の存在から目をそらすことが
できたていたのかも。その推しを失い
自分自身と向き合うことができるように
なったのかもしれないわね。
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