こちらは江戸で縁切り状の代書を
行うお糸と依頼者たちを描く
『お江戸縁切り帖』シリーズ第四弾よ。
熊蔵とどうなったのかな〜
そればっかりが気になっちゃってな。
相手に子供がいるとなると…。
熊蔵は子供のことは知らなかった、
お糸への気持ちは変わらないと
伝えるのだけど。自分の気持ちを
見つめ直す間にもお糸の元へは
様々な縁切り状の依頼が来るの。
そうだなあ。他の人の
縁切りの様子から自分が紡ぐ縁を
どうするか見えてくるのかもしれないな。
『母子草 お江戸縁切り帖』泉 ゆたか (著)集英社文庫
あらすじ
長屋でひとり住まいをしているお糸は代書屋をして身を立てているが、縁切り状を書く「縁切り屋」としての仕事も増えてきた。
夫婦になる約束をした大工の熊蔵に隠し子がいたことがわかり、長屋の住人たちは心配しながらお糸を見守っている。
そんなある日、油問屋の娘、おしげが弟との縁切り状を書いてほしい、とやってきた。
何年も前に家を出てそれきりだった弟が女房子供を連れて戻って来たため、実家の油問屋は弟にまかせ、自分は家を出るのだと言います。
家族や男女の惚れ合った仲など、ままならぬ縁を断つ手助けをするお糸。
そして彼女自身の縁の行方とは。
縁を切りたい人々と自分自身の縁
突然現れたお美和という女と、その息子の熊助。
熊蔵の話によればお美和との仲はずっと昔のことで、子供のことは知らされずに別れたとのことでした。
それでもお糸のことが、と気持ちを伝えようとする熊蔵にざわざわとした心持ちになるお糸。
そこへ縁切り状を頼みたい、と三十半ばを過ぎたくらいの女がやってきます。
しげと名乗るこの女は油問屋の娘で、弟である優次郎との縁を切りたいのだと言います。
跡取り息子として大事に育てられた優次郎はわがままに育ち、酒を飲んで遊び、果ては店の金を持って行方不明に。
しげは父と母を助け、商いを必死に学んできました。
そんな優次郎が十年ぶりにふらりと帰って来たとのこと。
泣いて喜ぶ両親を見て、店は弟にまかせ自分は身を引くのだと決意したしげ。
すると日を改め、今度は優次郎がやってきました。
姉弟の思いはどうも喰い違いがあるようで…。
さらに「どうしても話を聞いてもらいたい」とお糸のもとへ美和がやってきました。
申し訳ないことをした。
お糸と熊蔵の前に二度と姿を見せない、と涙声で詫びる美和にお糸がかけた言葉とは。
まとめ
熊蔵とようやく一緒になろうと決意したところで現れた、熊蔵がかつて情を交わした女とその子供の登場に、お糸の気持ちは大きく揺らぎます。
そして一緒に生きていくとは何なのか、縁をつないでいくとはどういうことなのかを改めて考え、向き合う決意をします。
「うおーっ そこで終わるのかい!!」と思わず声が出る、続きがめちゃくちゃ気になるシリーズ第四弾です。
<こんな人におすすめ>
「縁切り屋」の仕事をしている女性が、自分が家族として縁を結ぼうとしている相手とのことで
思い悩むようすを描いた物語に興味がある
『お江戸縁切り帖』シリーズのファン
泉 ゆたかのファン
えっ!!何なの!?
このシリーズは毎回こんな風に
続きが気になる終わり方って
ルールがあるの!?
次回はいよいよお糸と熊蔵が
その縁をどうするのかが決まるのか…!?
縁は二人だけのものではなく
二人が関わってきたものも
繋がっていくわよね。お糸が
どのように考えて結論を出すのか。
次巻が待ち遠しいわね。
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