こちらは『木挽町芝居茶屋事件帖』
第五弾よ。ある薬売りが女性にすすめる
化粧水の販売方法をめぐり
喜八たちは詳しく調べることになるの。
品が、というよりは販売方法なんだな?
いったいどんな売り方をしていたんだ?
化粧水を1本売った女性に
新しい客を連れてきたら
十文くれるというもの。
つまり客を紹介したら十文引きで
新しい化粧水が買えるってことね。
ふうん?商品が悪いもので
ないならばそんなに怪しくも
ない気もするけどなあ。
喜八たちはどうやって調べて
いくんだろう。
『菊花ちらし 木挽町芝居茶屋事件帖』
篠 綾子 (著)ハルキ文庫
あらすじ
芝居茶屋かささぎでは、実りの秋に何の献立を出そうかと店主の喜八、弥助、料理人の松次郎とで頭をひねる。
そんな中、下総から江戸へ遊びに来たという、美人のお菊とぼうっとした大男が店にやってきた。
そこへ店にいた久作と名乗る男がお菊に化粧水を買わないか、と声をかける。
その様子を見ていた喜八は、その販売方法がどうも気になり…。
江戸の町で起こる謎を解くシリーズ第五弾。
若い女性を相手に化粧水を売る男
しめじのご飯に舞茸の焼き物、秋茄子の揚げびたし。
秋のメニューを展開する芝居茶屋かささぎに二人連れの客がやってきました。
下総から来たという、美人で気が強そうなお菊と、そのお供と思われる無口な大男の名は何と喜八。
秋の献立を提供した後、やはりはじめて店を訪れたという、薬売りの久作と名乗る男がお菊に何やら話しかけている様子。
久作は菊若水という名の化粧水をお菊にすすめ、新しい客を久作のところへ連れて行き、その人が菊若水を買えばお菊に十文渡す、と言ったのだとか。
菊若水を1本買ったお菊によると、品質はしっかりしたもののようです。
しかしその販売方法が気になった喜八はおあさに事情を話し、久作が菊若水を売る様子を探ってもらったのですが…。
まとめ
なかなか芽が出ない役者、また役者をあきらめてしまった者。
自分が目指す先の光が見えなくなり、道を誤まる者も出てきます。
そうした厳しい芸の世界に興味はないながらも、恵まれたその才能で周囲から賞賛されたり妬まれることに戸惑う喜八。
しかし、役者たちがどのような思いで芝居に取り組んでいるのかを目にして、気持ちに変化が現れているようにも感じます。
中秋の名月に合わせた芋VS栗御膳など、豊かで滋味深い献立にも思わず唾を飲み込んでしまいます。
そして事件の流れを組み込んだ喜八と弥助が演じる芝居も見事な演出で、その解決にもすっきりとした爽快感が味わえる、大満足の物語です。
<こんな人におすすめ>
元役者の怪しげな商売の謎を探る物語に興味がある
『木挽町芝居茶屋事件帖』シリーズのファン
篠 綾子のファン
役者としての夢が敗れて
怪しげな化粧水売りに…
って現代にもありそうな
話だなあ。
芝居仕立ての解決シーンでは
喜八がいよいよ女形になる
ところも注目ね。
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