こちらは『開かせていただき光栄です』
から始まるシリーズ三部作の完結編よ。
独立戦争真っ只中にあるアメリカで
一人の青年が殺された事件で
エドは犯人として投獄されてしまうの。
ええっ?エドが!?
確かクラレンスも一緒じゃ
なかったっけか?いったい何が
起こったんだ。
新聞記者のロディが
殺された人物の手記を持って
獄中のエドをたずね、何が
あったのかを聞いていくの。
なるほどね。エドはアメリカに
渡って何か変わったんだろうか。
当時の状況も気になるところだな。
『インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー』
皆川 博子 (著)ハヤカワ文庫JA
あらすじ
18世紀。
独立戦争の真っ只中にあるアメリカで、一人の青年が殺された。
植民地開拓者の大地主と先住民の間に生まれたアシュリーを殺した人物である英国兵のエドワードは、捕らえられ監獄にいるという。
新聞記者のロディは同じく開拓者の大地主の息子、ラルフに頼まれアシュリーの手記を持って獄中のエドを訪ねる。
手記を読んだエドが語り出したのは殺した理由ではなく推理だった。
エドとアシュリーがともに遭遇した連続不審死やスパイ疑惑の真相、そして犯人の秘密とは。
独立戦争中のアメリカで起こる事件と疑惑
『開かせていただき光栄です』から始まるシリーズ三部作の完結編。
独立戦争により街の中でも国王派と愛国派に分かれ、独立の声が日増しに大きくなってきているアメリカ。
新聞記者のロディはアシュリーを殺した理由を聞くべく、監獄にいるエドのもとへ。
アシュリーの手記を読んだエドはこれまで起こった出来事について推理していきます。
英国軍の補給隊隊員としてやってきたエドとクラレンスは、船上でアシュリーと出会います。
彼は開拓者と先住民との間に生まれ、互いの会話を伝える通訳をしています。
彼らの乗った船で、先方への贈り物として積んでいた酒を、乗船していた皆が飲みつくしてしまう出来事が起こります。
先住民が勝手に開けたと航海士たちは騒ぎますが、先住民たちは許可を得た、と言います。
問題を起こしたビセット軍曹とともに敵情視察を命じられたエド、クラレンス、アシュリー、従卒のピート、先住民数名がボートで現地へ向かおうとしたところ、そこへ娼婦のシャルレーヌと大工のジェイクが合流。
視察する場所の近くにはシャルレーヌの伯母がいるのです。
ここを拠点とし、偵察に向かった一行ですが、砲撃が始まりあわてて引き返します。
しかし戻ってみると伯母の小屋は焼き崩れていたのです。
まとめ
アメリカ独立への声が高まる18世紀のアメリカ。
開拓者は先住民を攻撃したり、また交渉したりして利用していました。
そんな先住民と開拓者の間に生まれたアシュリーは、自分がどちらも半分でしかなく、どちら側に立つ、と決断する勇気も持てずにいました。
通訳を引き受けることとなり、今回の出来事や自分の思いを綴ろうと考えます。
エドやクラレンス、先住民らと行動しながら自分と向き合っていくアシュリー。
そして彼らが巻き込まれたスパイ疑惑や不審死に、何故か囚われの身となったエドが推理を働かせます。
己のアイデンティティへの苦悩と国が誕生するエネルギーに胸を突き動かされる物語です。
<こんな人におすすめ>
独立戦争中のアメリカを舞台にイギリスの青年と開拓者、先住民たちの事件や心の葛藤を描いたミステリに興味がある
『開かせていただき光栄です』シリーズ三部作の前二作を読んだ
皆川 博子のファン
エド…( இωஇ )
やっぱ変わってなかったんだな。
時代に翻弄されたんだなあ。
独立をめぐるアメリカの
様子、母国イギリスとの関係が
丁寧に描かれているわよね。
そんな時代に生き、その渦に
巻き込まれたエドたちを描いた
物語ね。
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