『名探偵に甘美なる死を』方丈 貴恵 (著)創元推理文庫
こちらは〈竜泉家の一族〉三部作の
三作目よ。ライターの加茂冬馬は
VRゲームの試遊会に招かれるのだけれど、
現場は殺戮ゲームと化してしまうの。
ええ!?ゲームなんだろ?
実際に殺人も起きてしまうのか?
そうなの。ゲームの内容は探偵が
ゲーム内で起こった殺人事件を解決
するというもの。ゲームのほかにも
主催者が犯人役を指名していて
参加者はゲーム内の犯人と現実世界での
犯人、両方を解明しなくてはならないの。
ひええ〜。なんとも大変な状況だな。
でも加茂は頭の切れる奴だから
なんとか犯人を見つけ出すことが
できるんじゃないか?
あらすじ
雑誌ライターの加茂冬馬はゲーム会社・メガロドンソフトからVRミステリゲームのイベント監修依頼を請け負った。
会場となるメガロドン荘に集まった『素人探偵』八名はリモート試遊会に招かれたはずだったが、大切な家族や恋人を人質に取られた殺りくゲームとなってしまう。
探偵たちはVR空間と現実の両方で起こる殺人事件の謎を解くことができるのか。
ゲーム試遊会が生き残りをかけた殺りくゲームに
大ヒットしたVRゲーム、『ミステリ・メイカー』はRPG推理シミュレーションゲーム。
このゲームを開発した椋田千景からの依頼で、続編となる新作の試遊会で殺人役をしてほしい、と頼まれた加茂。
会場であるメガロドン荘に集まったのは加茂を含めた『素人探偵』8名。
メンバーの中には加茂の妻のいとこで「幽世島」の事件に関わった竜泉佑樹の姿も。
彼らを招待した椋田は「皆さんに命を賭けたゲームに参加してもらいます」と切り出します。
参加者の家族や恋人などを人質に取り、VRゲームの中と現実世界で行われる殺人事件の犯人とその手法を全て明らかにするように、と伝えます。
誤った解答を導き出した探偵は現実世界でも「犯人」によって殺害されること。
ゲーム内で殺害された者は一定時間を置いた後、現実世界で探偵として活動できること。
そしてゲーム内の「犯人」および現実世界で手を下す「執行人」は8名の参加者の中にいること。
様々なルールを確認した後、それぞれが自分の部屋に設置してある装置に座り、ゴーグルとスーツ、手袋を装着してゲームにログインします。
加茂はゲーム内の傀儡館の室内を確認。
制限時間内に犯行を終わらせるべく動き出し…。
まとめ
VRゲーム空間と現実世界でそれぞれに起こる殺人事件の謎を解く8人の素人探偵たち。
この中に2つの世界の犯人が存在します。
VRゲームのログイン方法、ルールを確認しながら探偵たちは真相に近づこうとします。
ゲームでの犯人である加茂は、犯行のカラクリがばれないようにと気を使う一方で、現実世界での殺人犯とその方法を冷静に推理しますが佑樹のやる気のなさそうな態度が気になります。
犯行の緻密さ、トリックのスケールもさることながら、ラストに明らかになる事実に衝撃と、彼らをとりまく運命の輪に深く胸を打たれるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
VR空間と現実空間起こる不可能殺人事件に挑むミステリに興味がある
〈竜泉家の一族〉シリーズの一部、二部を読んだ
方丈 貴恵のファン
うわあ こう来たか!!
毎回まったく予想がつかないトリックで
わくわくさせられるぜ。
VR空間と現実世界を見事に
交錯させたミステリー。
そして竜泉家をめぐる不思議な
運命にも胸を打たれる物語ね。
〈竜泉家の一族〉シリーズ一部、二部のイラストブックレビューはこちらからご覧いただけます。
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