こちらは特殊な能力を持つ
高校二年生のクラスメイトが
それぞれに思い悩み、思いを
育んでいく青春小説よ。
特殊能力!?相手が
考えていることがわかっちゃう
みたいなやつか?
その人の感情が頭の上に
『!』や『?』などの記号で
現れるのが見える、といった
ものね。
ふうん?それくらいなら
大ごとにはならないか。
でもそれが好きな相手だったり
したら…気になっちゃうよなあ。
『か「」く「」し「」ご「」と「 』
住野 よる (著)新潮文庫
あらすじ
高校二年生の五人のクラスメイト。
彼らはそれぞれに、人にはない特別な力を持っているが、周囲に悟られぬよう隠している。
何かの役に立つようなものでもないけれど、この能力のおかげで彼女のことがどうも気になってしまう。
それぞれが持つ能力から見えてくるお互いへの思いを描き出す青春小説。
特殊能力ゆえに彼女のことが気になって
地味な高校二年生の大塚は、他人の感情が頭上に記号となって現れているのが見える、という特殊な能力があります。
例えば疑問がある人物の頭上には「?」が、驚いている人物の頭上には「!」が見えます。
そんな彼は自分と違って明るく、人間関係にもぐいぐいと攻め込んでいく三木さんのことが気になっています。
最近彼女はシャンプーを変えた様子。
そのことを指摘したら気持ち悪いと思われるだろうか。
あれこれ悩んでいる大塚をよそに、彼の親友で明るく外見のいいヅカと三木さんはポンポンとテンポよく会話を交わしています。
下校後、CDショップへと出かけた大塚は、店内で三木さんのことを話しているクラスメイトを発見。
思わず隠れて耳を澄ませると「なんか三木ちゃんね」「大塚くんのことが気になってるらしいよ」という声が聞こえてきて…。
連休明け、どんな顔をして三木さんと会えばいいのか、と思い悩みながらコンビニに向かった大塚は、何と店で三木さんに遭遇。
あたふたしつつ、これは気になっていたことを聞くチャンスかも、と意を決して彼女に「三木さん、使ってるシャンプー、変わったよね」と話しかけます。
すると彼女の頭の上には特大のびっくりマークが浮かび、顔には喜びの表情が。
「それで、何か、私に、言うこと、あるよね?」と三木さんは大塚の顔を見つめて話しかけてきて…。
まとめ
相手の感情が記号となって見えたり、シーソーのバランスみたいにバーの傾きで見えたりと、様々な能力を持つ五人が、それぞれの物語で主人公となる青春物語。
他人の感情が見えたところで戸惑うほうが多い者、その力を使って上手く立ち回ろうとする者、他人をコントロールする者。
力があってもどこか自分が無力であると感じている彼らは、実際にぶつかり合うことで本当の感情を素直に出せていくようになっていきます。
相手の感情が見えた上で、相手を気遣う方向がずれたりすることもあるけれど、能力があってもなくても同じ関係になれる。
そんな信頼できる友情が感じられる青春小説です。
<こんな人におすすめ>
人の感情が目に見えるなどの特殊な能力を持った高校生の話に興味がある
相手への思いからすれ違いが起こってしまう青春小説を読んでみたい
住野 よるのファン
このすれ違い具合が何とも
青春だな。でも相手を思う
からこその行き違いっていうのが
なんだか尊いぞ。
結びついた絆は能力の
有無も関係なくなって
いくものなのよね。
やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。