こちらはマコンドの村で
暮らすブエンディア一家の
繁栄と衰退を描く物語よ。
ほうほう。繁栄したってことは
子供がたくさん生まれたとか?
商売が成功したとか村に大きく
貢献したとか。
ジプシーから持ち込まれた
最新機器の研究に夢中になる者もいたり
革命のリーダーになる者もいたり。
わあ〜 なんか個性的なヤツらが
多い一族なのかな?
家を維持するのも大変そう。
百年の間に一族はどんな道を
たどったのか。
『百年の孤独』
ガブリエル ・ガルシア=マルケス(著),鼓直(翻訳)新潮文庫
あらすじ
マコンドの村を開墾し村に訪れるジプシーのメルキアデスから持ち込まれた新しいものに魅入られ夢中になり、妻のウルスラが大事に持っていた金で品物を譲り受けそれを分解したりする実験室まで作るホセ・アルカディオ・ブエンディア。
二人の間に生まれたアウレリャノは鋭い目つきをした、もの静かで内気な子供だった。
やがてアウレリャノは成長し、多くの子供を持ち銃殺隊の前に立つ。
ブエンディア一家の繁栄と衰退の百年を描く物語。
村に持ち込まれる文明と一家の繁栄と衰退
コツコツと開墾を続け豊かになったマコンドの村。
努力を惜しまない勤勉な人々が集まっていますが、ホセ・アルカディオ・ブエンディアはジプシーのメルキアデスが持ち込んだ錬金術に夢中になり、役に立たないものに金を注ぎ込みます。
やがて成長したアウレリャノは政府から任命されたという町長の娘のレメディオスに一目惚れしてめでたく結婚。
妹のレベーカもイタリア人の技師であるピエトロ・クレスピとの交際が始まりますがもう一人の妹の アマランタも彼に心を寄せている様子。
レメディオスが来たことで一気に明るくなったブエンディア家ですが、彼女が死んでからアウレリャノは再婚せずに失意と孤独、そして静かな怒りを胸に抱えていました。
そうした中、マコンドの村には人々が関心を持たない政治のいさかいが持ち込まれようとしていました。
まとめ
錬金術に夢中になったり、血縁やモラルを気にしなかったり、革命に走ったりとどうにも足元がしっかりとしない男性陣に比べてウルスラはどんな状況にも屈することなく、地道に手や足を使ってお金を稼ぎ家を整えていきます。
しかしレベーカは兄と夫婦になる道を選び、アマランタはピエトロ・クレスピへの思いがこじれて何やら不穏な空気が。
のんびりとした街に戦争や革命の気配、アメリカ資本の参入、文明の到来を経て、村の様子はゆるやかに下降線を描いていきます。
そして多くを知りブエンディア家の柱となって支えてきたウルスラが亡くなったことで、彼らにも終焉の気配が訪れます。
亡き者の魂とともに愛のない一族の孤独の軌跡を描く、本とともに百年の時を過ごしたかのように感じられる壮大で深淵な物語です。
<こんな人におすすめ>
蜃気楼の村マコンドで生きる一族の繁栄と滅亡を描く物語に興味がある
孤独を抱えた一族が愛なき世界を生き抜く物語を読んでみたい
ガブリエル ・ガルシア=マルケスのファン
一族の百年て…。ほんとに
濃くていろんな人生が
詰まっているな。一緒に
百年の時を過ごしたような
感覚になる。
根底に漂う孤独を埋めることは
できなかったのね。人間は
生まれ落ちたその日から
孤独を植え付けられて生きて
いくものなのかもしれないわね。
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