こちらは手術支援ロボットでの
手術の成功を重ねている医師と
従来の方法で手術を行う
天才心臓外科医がある少年の
施術をめぐり対決する物語よ。
どちらにもメリットと
デメリットがありそうだな。
家族や本人が最終的に決める
ことになるのかな。
そうなるわね。ところが
手術支援ロボットにある
問題が発覚するの。
じゃあ従来の手術にすれば…
って単純な話じゃなくて
いろいろ立場や利権が絡んで
いたりするんだろうなあ。
どうなることやら。
『ミカエルの鼓動』柚月 裕子(著)文春文庫
あらすじ
北海道中央大学病院の医師、西條泰己は手術支援ロボット「ミカエル」を操作し数々の手術を成功させ、病院内での地位を築いてきた。
しかし病院長の曽我部は、ドイツから天才心臓外科医の真木一義を招く。
先天性心疾患の少年、白石航の治療方針を巡り、ミカエルを用いた手術か従来の術式を行うかで西條と真木は激しく対立する。
そんな中、ミカエルにある問題が発覚する。
少年を救うのはロボットか天才心臓外科医か
心臓外科医で北中病院の病院長補佐でもある西條は最新の医療支援ロボット「ミカエル」を使って行う手術で成功実績を重ね、病院の知名度を上げることに貢献。
病院長の曽我部からの期待を受けているようにも感じていました。
しかしドイツから心臓外科医の名手、真木を呼び寄せることになり、院長の意図がつかめない西條。
先天性心疾患の十二歳の少年、航の手術方針を巡って真っ向から対立した西條と真木は両親と航の前で手術の方式や術後の状態を説明し、選んでもらうことに。
すると両親はミカエルを使った西條の手術を、そして航は何と従来の術式を行う真木を選んだのです。
その理由をたずねても航は話そうとせず…。
また、西條はフリーライターの黒沢巧から「ミカエルについて教えてほしいことがあるんですよ」と話しかけられます。
いぶかしく感じる西條に、周りで気になることはないか、と。
西條は共にロボット支援手術に取り組んでいた、広島の病院の布施に連絡を取ろうとしたところ、退職したと言われ驚いたことが頭に浮かびます。
ミカエルに関係することで一体何が起こっているのか。
まとめ
安全で確実な術式としてミカエルを使った手術の成功実績を重ねてきた西條。
一方真木は、確かな腕と医者として人の命を救う意志を患者にも医師仲間にもハッキリと表示する人物。
出世への欲もあった西條ですが、真木と出会い航と接し、医者としての自分の根本を再び思い出したようです。
人を救うのはやはり人である。
そんな風に感じる、読後に深い余韻が残る物語です。
<こんな人におすすめ>
医療支援ロボットと天才脳外科医の対立を描いた物語に興味がある
医療のあり方や命の意味を問う物語を読んでみたい
柚月 裕子のファン
このトラブルが結果として
医師としての自分のあり方に
改めて気づかされたんだな。
そんでもってラストよ…
医師と向き合い、患者と向き合い
そして自分と向き合って
手に入れたのものは何物にも
変えがたいものなのかも。
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