
こちらは吸血鬼一族の娘、弓子と
彼女が儀式に参加する資格を持つかを
監視する物体であるQの物語よ。

儀式って何だ?吸血鬼の
成人式みたいなものか?
晴れて人間の血を吸えるとか。

むしろ逆ね。『脱・吸血鬼化』の
ための儀式なの。それまでに人間の
血を吸わずにいることができれば
儀式に参加することができるわ。

人間を目指すのか!なるほどね。
それにしても物体であるQってのは
何者なんだろうな。儀式まで
何事もなく過ごせればいいが。
『あの子とQ』万城目 学 (著)新潮文庫
あらすじ
十七歳の誕生日まであと十日となった朝。
弓子は自分である物体『Q』と遭遇する。
吸血鬼一族の娘として生まれながらも一度も人間の血を吸ったことのない弓子。
脱・吸血鬼化の儀式に参加資格があるかを監視するためにQはやってきたと言う。
誕生日を迎えるその日まで弓子は人間の血を吸わずに過ごすことができるのか。
女子高生吸血鬼が謎の物体『Q』に監視される
吸血鬼にとって人間の血は、人間にとっての薬物よりもおそろしく、その先には破滅しかない。
一滴でも人間の血を舐めてしまったら吸血鬼の本能に目覚め、その身体と心を支配され制御不能となる。
「もと」吸血鬼の父と母から教え込まれてきた弓子は、もちろんこれまで人間の血を口にしたことはありません。
このまま誕生日まで過ごすことができれば脱・吸血鬼の儀式に参加し晴れて人間の仲間入り…のはずだった弓子ですが。
監視役として全身トゲトゲの黒い物体「Q」が現れ、頭の中に直接話しかけてきたりしてうっとおしいことこの上ありません。
親友であるヨッちゃんは好きな人に告白しようとしていて、これに協力したりと学校生活も忙しく充実した日々を送っている弓子。
休日にダブルデート的な予定を決行することになり、弓子とヨッちゃん、男子二人と遊んだ帰りに四人が乗ったバスの窓ガラス越しに巨大な岩が突っ込んできて…。
まとめ
吸血鬼ゆえの高い身体能力を隠しながら平和な日常を送っていた弓子の前に突然現れた、トゲトゲの物体Q。
かつて禁忌を破った吸血鬼の存在を弓子に語り、彼女を監視します。
Qをうっとおしく感じていた弓子ですが、その正体が少しずつ明らかになっていくにつれ、彼に対する感覚も変わっていきます。
そしてある事故をきっかけに訪れる、弓子最大の危機。
手に汗握り、強さと弱さ、そして切なさが全身に迫ってくる、かつてない吸血鬼の青春物語です。
<こんな人におすすめ>
血を吸わない吸血鬼の女子高生が活躍する青春小説に興味がある
吸血鬼として生きる者の苦しみや葛藤、そして希望を見出すような話を読みたい
万城目 学のファン


軽やかで爽やかな青春物語と
思いきや!裏には胸が苦しく
なるような切ない思いが
存在していたんだな。

人間を目指す吸血鬼として
制限がありながらも大切なものを
守ろうとする弓子の姿に
感動する物語ね。
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