
こちらは周りにいる人の推理力を
高めるという特殊な能力を持つ
刑事・和戸が、彼の周りで起こる
事件をその力で解決していくミステリーよ。

周りにいる人の推理力を高めるって
おもしろいなあ。和戸のそばにいれば
誰でも名探偵ってわけか。

そうなの。また様々な
事件にも遭遇するわ。
刑事として捜査を進めている間
周囲にいた人たちは推理を重ねるの。

へえええ。本人自体には
推理力がないってのも
おもしろいところだ。
どんな風に展開していくのか
楽しみだぜ。
『ワトソン力』大山誠一郎 (著)光文社文庫
あらすじ
若くして念願の警視庁調捜査一課へ配属となった和戸宋志には特殊な能力がある。
それはそばにいる人間の推理力を飛躍的に向上させる不思議な力。
奇妙なダイイング・メッセージ、雪の中で起こった銃殺事件など、和戸の周囲で起こる事件に人々は推理を巡らせていく。
周囲の人間の推理力を飛躍的にアップさせる
小学校の時のクイズ大会をきっかけに、和戸自身が謎に遭遇すると周囲の人間の推理力が高まることに気づいた彼は、この能力を活かすべく警視庁へ。
交番勤務の時に起こった事件の関係者に和戸の力が作用し、その手柄が何故か和戸自身のものとなって捜査一課への配属が決まったのでした。
休暇中、一人ペンションを訪れていた和戸ですが、朝食の時間になっても姿を見せない主人の海江田を呼びに行こうと部屋の扉を開けると、そこにはうつぶせに倒れた海江田の死体が。
そして伸びた右手のそばには血で書かれたと思われる五つの十字架。
同じく姿を見せない海江田の妹・敏子の部屋へも向かいますが、左胸を拳銃で撃たれたらしき姿で彼女は死んでいました。
近くの床には消音器のついたベレッタ。
110番通報し、宿泊客たちに自分の身分を明らかにした和戸は、初動捜査と客たちからの聞き取りを開始。
状況を聞いていた宿泊客たちは頷き、互いに論じ合います。
ワトソン力が作用してきたな、と思う和戸の耳に飛び込んできたのは「犯人がわかった」という三人の宿泊客からの言葉で…。
まとめ
周囲にいる人間の頭脳が冴え渡り、鋭い推理力を発揮させる力を持つ和戸。
そんな能力を持ちながら、自分自身には優れた推理力を持ち合わせていないところがポイントでもあります。
そんな彼が巻き込まれた事件の現場では、容疑者を含む関係者たちが和戸の力の影響を受けて次々と推理を展開していきます。
一つひとつの事件のトリックの緻密さ、意外性のある動機や結末に加え、それぞれの話が関係を見せながら迎えるラストに驚きを隠せません。
「推理力を持たない」主人公の活躍が楽しめるミステリーです。
<こんな人におすすめ>
人の推理力を高める能力を持つ平凡な刑事の物語に興味がある
訪れる先々で起こる奇妙な事件の謎を関係者たちが推理を披露し合い解決するミステリを読んでみたい
大山誠一郎のファン


おもしろいなあ。俺も和戸の
そばにいればすんごい推理を
披露できそうじゃないか。
しかしその能力ゆえのハプニングも…

推理力を持たない主人公が
活躍する、未だかかつてない発想が
楽しく、本格的なトリックにも注目の
ミステリーね。
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