こちらは「人が入れ替わる」
世界で起こる出来事を描いた
お話よ。
入れ替わる!?
ええ〜 なんか怖い…
嫌なことがあっても一定期間で
入れ替わり、どんどん忘れていくわ。
刺激もなく穏やかな世界よ。
嫌なことを忘れるのは
悪いことじゃないけど…
なんか釈然としないぞ。
『ハッピーライフ』 北大路公子 (著) 山寿郎社
あらすじ
日記をつけることで幸福を楔で心に打ち付ける女性、帽子とマスクで顔を覆い、商店街の中で暮らす女性、アパートの管理人をすることになった女性。彼女たちは日常の暮らしの中で、起こった出来事についてどのように感じ、感情を処理していくのか。
結婚して二週間後から日記をつけはじめた女性。彼女は、日記をつけはじめてから眠りが浅くなりはじめました。幼い頃、日記についてたずねた彼女に、父親は「穏やかで均された世界を手に入れたのだから、尖った感情をわざわざ楔で打ち付けるような作業は必要ない」と答えます。ある日、夫とちょっとしたいさかいを起こします。翌朝彼女に謝ってきたのは昨日と違う男性でした…。
まとめ
不定期に人間が「入れ替わる」世界。そこでは怒りや苦しみ、そして喜びでさえも時間がたてば別の人間になってしまうため、忘れていってしまいます。この物語の中には「入れ替わる」人間と「入れ替わることのない人間」が登場します。入れ替わることのない人間は、苦しみや悲しみも持ち続けることになりますが、それは間違いなく自分の感情であり、自分が存在する、という意識につながっているのです。喜びも悲しみも忘れていく世界に、自分が存在する確信が持てるのか。そんなことを考えさせてくれる物語です。
<こんな人におすすめ>
幸福とは何かを考えさせられるような話を読んでみたい
一緒に暮らす相手が入れ替わってしまうような世界に興味がある
北大路公子のファン
自分のことすらも曖昧に
なってしまうなんて…
苦しみも悲しみも、そして喜びも
自分を自分として確定させる
要素なのよね。
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