こちらは不思議な世界を描いた
4つの短編集よ。
ほう。不思議というと
どのような?
一瞬にして19329人に増殖して
しまった男性の話、家の半分が
消えて中の様子がよく見える家を
観察する人々、などね。
状況が突飛すぎて
想像つかないんですけど…(・_・;
『半分世界』 石川 宗生 (著) 創元SF文庫
あらすじ
3年前のある夜、会社から帰宅する途中だった30代の男性、吉田大輔氏は、一瞬にして増殖した。その数なんと19329人。その状況の詳細、吉田氏という人物、そして各地の収容場所での暮らしぶりを描く「吉田同名」。
家の半分が消失し、ドールハウスのように家の中の様子がよく見える藤原家。人目を気にすることなく暮らす彼らを観察する「フジワラー」なる者たちも現れる「半分世界」。でたらめで緻密な世界を描く4つの短編集。
大量発生した吉田氏たちは、合計六県の人里離れた廃病院や廃旅館に収容されます。6カ国の言語を習得し、多趣味。
仕事ぶりは優秀であったという吉田氏。本人にも増殖した理由は不明です。そして周囲にいる自分自身と情報交換し、生活をし、コミュニティを作ります。何をしても相手が自分であるという、哲学的とも言えるような、何とも不思議で奇妙な世界が展開していきます。
世の中から見捨てられてしまったかのような吉田氏たちが最終的に行きついたのは…。
まとめ
「ありえない世界」のそのディティールの細かさ、そしてその世界が予想を超えるスパンで描かれています。でたらめでありながらくっきりと明確でユーモアの漂う世界。唯一無二の物語です。
<こんな人におすすめ>
予想外の発想でワクワクするような奇想天外な話を読んでみたい
想像もつかない世界の遠い先までを緻密に描いた物語に興味がある
石川 宗生のファン
19329人に増殖するのも
びっくりだけど、彼らの生活を
数年も追っているところがすごい!
奇妙な世界を緻密に
そして長期間描いていく
他には類の見ない物語ね。
本やイラストレビューが気に入っていただけたらポチッとお願いします。