『消えてなくなっても』 椰月 美智子 (著) 角川文庫
タウン誌の編集部で働いているあおのは、腕がいいと評判の、河童山にある治療院を訪れた。平屋建ての治療院であおのを出迎えたのは岸田節子という五十歳くらいのどこにでもいるような女性。心にある問題を抱えていたあおのは、会社を休んでこの治療院でやっかいになることに。そこにはつきのという先客の女性も暮らしていて…。
自然の美しさに溢れた治療院で心の傷が癒されていく
幼い頃に両親を亡くし、叔父夫婦に実の子供のように育てられたあおの。心の中では孤独や疎外感のようなものを抱え、良い状態ではありませんでした。あおのは、自分より一つ上であけすけな物言いをするつきのとともに、治療院の手伝いをしたり、美しい自然を感じ、時には人ではない、不思議な生き物と遭遇しながら、穏やかな日々を過ごしていきます。
まとめ
強く刺す太陽の光、その光を受ける木の葉、吹き抜ける風と伝説の生物、そして人間が背負う「業」。それらがごく自然に、共に存在すること、そして生命がなくなってもそこに「ある」のだということを美しい描写で描く、感涙必至の物語です。
<こんな人におすすめ>
美しい自然と不思議な生き物に癒される話を読みたい
命について考えさせられるような話に興味がある
椰月 美智子のファン
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