『夜また夜の深い夜』 桐野 夏生 (著) 幻冬舎文庫
あらすじ
友だちに本当の名前を言っちゃだめ。マイコにそう厳命する母は整形をくり返す秘密主義者。母娘はアジアやヨーロッパの都市を転々とし、四年前からナポリのスラムに住んでいる。
国籍もIDもなく、父の名も自分のルーツもわからないマイコはやがて家を出て、ナポリの街でサバイバルな生活をはじめる。
秘密主義と逃亡を繰りかえす母娘の暮らし
パスポートもなく、自分の名も何回も代わり、住む国も何度も変わる。母は整形を繰り返し、自分の情報をさらさぬよう、注意をする。これで彼女の生い立ちに対する不穏な空気がプンプン臭ってきます。
年頃になったマイコは、ナポリのマンガ喫茶で初めてマンガに出会い、衝撃を受けます。母とのケンカをきっかけに家を飛び出し、盗みなどをしながら生き延びるうちに、自分の出生の秘密が明らかに。
まとめ
教育が充分に受けられない事、スラム街に集まる人間の死生観と日本人の感覚における違和感。いろんな「生きづらさ」が溢れる環境の中でたくましく生きのびていく、パワフルでしたたかな女たちの物語です。
<こんな人におすすめ>
女の逃走劇に興味がある
スペインの、スラムを含む町の様子を知りたい
桐野夏生のファン
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