こちらは高校教師である
お父さんが本にまつわる
謎を解くシリーズ第二弾よ。
毎回、作品や作家、それにまつわる
資料まで、幅広い知識と推理力を
披露してくれるよな。
そうなのよね。今回は太宰治作品中の
意味不明な言葉や、泉鏡花が徳田秋声を
殴った理由などの謎が登場するの。
これはまた、興味深い。
いったいどんな答えが
隠されているのかな。
『中野のお父さんは謎を解くか』北村 薫 (著)文春文庫
あらすじ
体育学部出身で運動神経抜群の編集者・田川美希は、日々の仕事の中で本屋小説にまつわる謎に遭遇する。
太宰治作品中の意味不明な言葉、泉鏡花が徳田秋声を殴った理由。
答えが見つからない時は中野の実家に行き、高校教師であり、本にまつわる謎を解く名人である父に話を聞きに行く。
コタツと甘いものを愛するお父さんの推理とは。
火鉢を飛び越えて殴りつけた理由は?
進めているグラビアの資料本を読んでいた美希は、そこに描かれたセリフに注意書きされているのを発見。
それは「ガスコン兵」という単語に矢印が引かれ「春の盗賊」に出てくるナゾの言葉、と記されていました。
太宰治の「春の盗賊」という作品に登場するらしい「ガスコン兵」とはいったい何のことなのか(「ガスコン兵はどこから来たか」)。
ある作家の講演記録を読んでいた美希。
泉鏡花が火鉢を飛び越えて兄弟弟子の徳田秋声を殴りつけた、というエピソードが印象に残ります。
どこで読んだか思い出せないと作家が語るエピソードにはどんな事情があったのか(「火鉢は飛び越えられたのか」)。
まとめ
甘いものが好き、コタツが好きでお腹が気になるお父さん。
何と倒れて救急車で運ばれます。
幸い命に別状はなく「本の探偵」ぶりも健在です。
作家のエピソード、作品や書評まで幅広く本の世界を網羅しているお父さんは、そうした様々な角度から本を読む楽しさと、そこから発見する喜びを私たちに教えてくれるのです。
<こんな人におすすめ>
文豪や文学作品にまつわる謎を解くミステリに興味がある
前作「中野のお父さん」を読んだ
北村 薫のファン
この父娘の軽やかなやりとりも
いいんだよな。この流れだと
美希は今後ひょっとして…?
いろんな角度の情報から
作品や作家に触れることで
新たな楽しさを感じられるわよね。
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