
こちらは夫と離婚した女性が
前の住人が亡くなった部屋に
一ヶ月ずつ住んでいく、という
お話よ。

え たったの一ヶ月?
なんでまたそんなことしてるの?

そうすることで前の住人が
亡くなったという瑕疵物件には
当たらなくなるためね。心を
閉ざしていた女性もこの仕事で
少しずつ変わっていくの。

東京にはいろんな仕事が
あるんだなあ。この女性には
どんな変化が現れたんだろう?
『東京ロンダリング』原田ひ香 (著) 集英社文庫
あらすじ
夫と離婚した内田りさ子32歳。
住まいを探そうとキャリーケースを引きながら不動産屋を巡っていた彼女は、ある仕事を紹介される。
それは都内の事故物件を一ヶ月ごとに転々とする、というもの。
人との関わりを避け、孤独で無気力な日々を過ごしていたりさ子だが、移り住んだ先で出会う人々とのやりとりが、やがて彼女の固くこわばった心をやさしくときほぐしていく。
何もかも失ったりさ子がはじめた仕事とは
アンティーク講座の講師と恋仲になり、夫と別れることになったりさ子。
講師の彼と連絡を取ろうにも電話はつながらない。
キャリーケースひとつで家を出て、不動産屋をまわりますが職のない独身女にはなかなか部屋を紹介してもらえません。
疲れ果てたりさ子が紹介されたのは、前の住人が亡くなった部屋に一ヶ月程度住む「ロンダリング」の仕事。
りさ子が住むことで、前住人が亡くなった瑕疵物件ではなくなるのです。
人ととの関わりを避け、無気力にこの仕事をこなしてきたりさ子。
しかし、ある物件の大家である真鍋夫人に愛想笑いを見抜かれ、さらに行きつけとなった食堂の手伝いを無理やり引き受けさせられてしまい…。
まとめ
夫も住む場所も、恋人までも失ってしまったりさ子。
ひたすら泣き、食事をして、古本屋で買った本を読み、次の物件に行くときにその本を売る。
何とか生きていくことはできるようになりましたが抜け殻になった彼女に少しずつ力を与えたのは、やはり「人」でした。
東京という街に星の数ほどある住まい。
そこに沈んでいる澱を洗い流す「ロンダリング」は彼女自身の心の澱も洗い流したのかもしれません。
<こんな人におすすめ>
夫も家も失くした32歳の女性が少しずつ立ち直っていく物語を読んでみたい
事故物件を渡り歩く仕事を描いた話に興味がある
原田ひ香のファン


そっとしてくれるやさしさも
時には踏み込むようなおせっかいも
受け入れられるようになるくらい
少しずつ傷が癒えていったのかもな。

孤独のど真ん中にいるようでも
実は見渡せばいろんな人に
見守られている。そんな風に感じる
物語ね。
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