こちらは本のない絵本屋兼カフェの
店長とその相棒が、お客においしい
スープとその人にぴったりの絵本を
提供するお話よ。
へえ。絵本屋なのに本がないなんて
不思議な店だな。お客が求めるのは
どんな絵本なんだ?
心が晴れるような本や
何をやってもうまくいかない
人に向けた本など、お客の悩みに
効く本を探し出すの。
なるほどね。悩みに対して
選ばれた絵本がなんなのかも
気になるな。
『本のない、絵本屋クッタラ: おいしいスープ、置いてます。』
標野 凪 (著) ポプラ文庫
あらすじ
札幌市内を流れる創成川のほとりから東に一本入ったところにある「絵本屋クッタラ」。
本を置かないこの店は、店主の広田奏と共同経営者の八木が、季節の素材で作るスープと、お客の要望に合った絵本を提供する。
年季の入った木造二階建て、尖った三角屋根が目印のこの店には様々な客がやってくる。
『曇っている心が晴れやかになる本』『娘が他の子とうまくやっていけるような本』など、お客が抱える悩みに効く本を、美味しいスープを提供しながら八木とともに探し出す。
心と身体にじんわりと沁みこんでいく、六つのスープと物語。
あなたの悩みに効く絵本あります
店にやってきた女性は、奏の作ったカブのスープに感心した様子を見せた後、希望する本について話しはじめます。
仲の良かった親友が闘病ののち亡くなったこと。
彼女は旅行に行きたがっていたのに、病状が悪化することが怖くて、行かない方がいい、と説得しいてしまったこと。
行ったほうが彼女にとって良かったのではないか。そんなことを考え、いいつも心が曇っているため、晴れやかな本を希望しているのだと言います。
キッチンの裏の勝手口から、八木はそっとその話に耳を傾けます。奏は八木とのやりとりから彼女にぴったりの本を探し出します(「お月様のスープ」)。
幼稚園に通う娘は友人ができないし、偏食もある。
自分の育て方が間違っていたのだろうか。
幼い娘とともに店を訪れた母親に奏が提供するのはポトフ風に仕立てたアスパラのスープ。
別の小皿で出されたのは味の変化を楽しむための三色のアスパラのマリネ。
そんな彼女のために、後日用意された絵本とは…(「心が丸くなるスープ」)。
まとめ
かつて手にしたことのある絵本や、はじめて見る絵本。
わかりやすい絵と文で訴えてくる絵本は、大人である私たちに見過ごしていた大切なことを気づかせてくれます。
そして美味しいスープとともにその内容が深く心に沁みこんでいくのです。
心と身体に効く絵本とスープであなたも温まりませんか。
<こんな人におすすめ>
おいしいスープとおすすめの絵本を提供するカフェの話を読んでみたい
大人になった今、子供の頃と違った目線で絵本を手にとってみたい
標野 凪のファン
あったかいスープを飲むと
心もほぐれて素直になれそうだ。
そんな気持ちで読む絵本も
沁みるんだろうなあ。
相棒の活躍がまたエッセンスとして
よく効いているわよね。心も体も
ほっこりあたたかくなる物語ね。
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