こちらは江戸時代、奄美で
砂糖づくりをする兄妹が
手を取り合って生きていく姿や
運命に翻弄される様子を描く物語よ。
江戸時代の奄美!!
想像もつかないけれど
どんな様子だったんだ?
薩摩の支配下にあったの。
砂糖を栽培し、薩摩に納めて
いたわ。砂糖以外の作物作りは
制限され、ヤンチュと呼ばれる
奴隷のような身分の人々が仕事に
携わっていたのよ。
へええ そんな状況だったのか。
兄と妹がどんな仕事をして
どんな価値観で生きていくのか。
気になるぜ。
『月桃夜』遠田 潤子 (著) 新潮文庫
あらすじ
江戸時代、薩摩の支配下にあった奄美は砂糖を作り納めていた。
働き手は奴隷のような身分であるヤンチュ。
ヤンチュ同士の間に生まれた子供はヒザと呼ばれ、さらに下層の扱いを受ける。
身寄りのないヒザの少年フィエクサは、父を亡くし一人ぼっちになった少女サネンと兄妹の契りを交わす。
二人で手を取り合い、日々の労働をこなす中、老ヤンチュであるアジャと知り合い、フィエクサは碁を学び、その才能を開花させる。
サネンも美しい娘に成長し、薩摩の役人から妾に所望される。
抗うことのできない運命の渦に二人は巻き込まれていく。
奄美に生きる兄妹を待ち受ける運命とは
奄美の海でカヤックを漕いでいた茉莉花は島からだいぶ離れたところへ流されてしまいます。
落ち着くために月桃水のスプレーを顔や体にふきつけます。
気がつくと艇首に隻眼の鷲が。
人の言葉を話すこの鷲は、茉莉花の魂が抜けかかっていること、自分は江戸の時代からずっと空を飛んでいること、そして自身の過去を語ります。
フィエクサが七つ、サネンが五つのときに出会った日から二人が成長していく話を…。
身寄りのない者同士、兄妹の契りを交わし山の神に誓ったフィエクサとサネン。
孤独で過酷な暮らししか知らなかったフィエクサは、まっすぐに彼を信じ頼るサネンを必ず幸せにするのだと心に誓います。
人嫌いな老人と言われていたアジャから碁を教わり、たちまち腕をあげるフィエクサ。
アジャは碁と同時に島の外の世界のことや世の理について教えてくれます。
やがて美しく成長したサネンは薩摩の役人に妾として所望されます。
兄も船に乗せてほしい、と訴えるサネンに、役人はフィエクサとの碁の対決を挑みます。
まとめ
虐げられた狭い世界の中で、ただ二人で生きていきたいというささやかな願いすらも叶うことがままならないのです。
そんな恨む対象もわからないような果てしなくも思える人生で、手を取り合おうとした二人を待つ結末に胸を引き裂かれますが、物語自体のラストは一筋の光が差しているかのようです。
読後の深い余韻がいつまでも続く、衝撃と感動の物語。
<こんな人におすすめ>
江戸時代、薩摩藩に砂糖を納めていた奄美の人々の暮らしを描いた話に興味がある
兄妹の愛と絆、そして山の神の美しさと恐ろしさを描いた物語を読んでみたい
遠田 潤子のファン
狭い世界でわずかな幸せを
望んだだけなのに…(இдஇ; )
兄妹の愛と絆を描く
胸がしめつけられるような
読後の余韻が深く残る物語ね。
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