
こちらはクセの強い精神科医
伊良部がその自由な振る舞いや
言動で悩める現代人の心を
軽くしていくシリーズの第四弾よ。

すんごい久しぶりだな。
第三弾から何年ぶり?

十七年ぶりだそうよ。
コロナ禍で広告収入が減り
番組制作に苦心しているテレビスタッフから
伊良部はコメンテーターとして出演を
求められるの。

マジか!!あんな自由すぎる医者を
登場させがら事故にしかならないような
気がするが。でもおもしろそう。
『コメンテーター』奥田 英朗 (著)文春文庫
あらすじ
視聴率の低迷にあえぐワイドショー番組の制作チームは、テコ入れ対策としてコメンター探しに力を入れる。
美人女医を呼ぶつもりが、現れたのは色白で小太りの精神科医・伊良部一郎。
彼の自由すぎる発言はスタジオを震撼させる。
番組の存続をかけたコメンテーターに伊良部が登場!?
コロナ禍の波はテレビ業界にも及び、広告収入が激減した結果、予算のかかる番組は終了し安上がりなワイドショー番組が増えるという事態に。
似たようなタレント、無難な発言をする文化人を集めたよくある番組では思うように視聴率は取れません。
圭介はイケイケ体質のプロデューサー、宮下からパワハラまがいの発破をかけられ、コメンテーター探しに奔走します。
美人女医を探してツテをたどりますが、何故か紹介されたのは色白で小太りの精神科医・伊良部一郎。
紹介者の大学のスポンサー一族の人間ということで押し切られてしまった圭介は、話が違うから一回限りの出演だと息巻く宮下の言葉を背に、伊良部が無事にコメンテーターを務めることができるように、と心の中で祈ります。
リモート出演で登場した伊良部は「よろしくねー」と軽くあいさつをした後、司会者からふられた質問に答えていきます。
コロナ禍で国民が自粛を強いられる中、若者たちの間で路上飲みが行われる事態について問われると、18時以降は酒の販売禁止、さらに酒を1本1万円に、放水車で水をかける、などなんともハチャメチャな発言を繰り広げます。
番組のまとまり具合に司会者が不安を覚える頃、画面の隅にギターを抱えた看護師の姿が現れ…。
まとめ
注射の針が腕に刺さるところをみると興奮する、フィギュアマニア、人の話は聞かない。
まともなことを言ったと思えば、次の瞬間には「人間死ぬ時は死ぬんだし」などとテレビに向かって発言したりしてしまう。
「この人本当に医者なのか?」と思ってしまう行動や言動を連発する伊良部。
しかしその適当な発言やハチャメチャな対応に接しているうちに、周囲の人々は不安な気持ちが軽くなっていたりするのです。
目の前のことにとらわれて動けなくなって苦しんでいる現代人にとって、まさに変人としか言いようのない伊良部は面白過ぎて眺めてしまい、不安に目を向ける隙を与えない効果があるのかもしれません。
看護師マユミちゃんとのやりとりも楽しい、いつの間にか心が軽くなる連作短編集シリーズ第四弾です。
<こんな人におすすめ>
何かと窮屈な思いをしている日々を笑いに変えてくれるような物語を読んでみたい
無茶苦茶な精神科医と看護師が患者を治療していく話に興味がある
奥田 英朗のファン


いい!この伊良部の適当で
自由な姿を前にすると
自分の悩みがちっぽけなものに
見えてくるんだよなあ。

看護師マユミちゃんとの
やりとりも絶妙よね。
読後には心が軽くなる物語よね。
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