こちらは作家の佐藤愛子さんが
九十歳の目線で世の中や
身の回りのことをユーモアたっぷり
かつ切れ味鋭く綴るエッセイよ。
九十歳!!すごいなあ。
きっと元気な人なんだろうな。
ご本人は声が大きいので
元気だと思われて困るそうよ。
体はそれなりにくたびれている
というのに。
いやあ 大きな声で
主張している老人を見かけたら
元気だとしか思えないっしょ。
世の中や若者に対してもいろいろと
思うところはあるんだろうな。
『増補版 九十歳。何がめでたい』
佐藤 愛子 (著) 小学館文庫
あらすじ
身体のガタが来ているというのに、声が大きいために元気なばあさんだと思われて困る。
スマホとは何ぞや、便利になった生活で失われたものは何か。
「人生相談」のコーナーが好きだが、自分にはとても答えられない…。
大正生まれ、昭和、平成、令和と生きてきた女性作家が歯に衣着せぬ物言いで昨今の風潮を斬り、それでいいのか、と投げかける。
子供の頃のキモチを思い出し、十四年間共に暮らした犬を偲ぶ。
九十歳を過ぎた今思うこと、起こることを笑いと涙あふれる文章でイキイキと綴るエッセイ集。
老化に悲哀を感じ 人生相談にエキサイトする
テレビで若い女性の声が聞き取りにくい。
男性タレントや若手俳優のセリフも聞こえづらく、テレビに向かって「男ならもっとハキハキと、腹から声を出せ!と毒づいていたが、ある日医者から「若い人の半分しか聞こえていない」と言われた著者。
「老化だ」と笑い飛ばしてはみるものの、その裏には死への序曲を意識した悲哀が漂います。
新聞に投稿された「田舎の近所付き合いが憂鬱」という五十代女性からの相談を読み、状況が良くわからない、としながらも、自分ならこう答えるだろうと妄想します。
あなたは気が小さいのです。
面倒な相手には「あなたと話したくない」とハッキリ告げること。
それを言えない自分を駄目だと思うなら、その駄目さをなくしていけばいい。
自分の弱さと戦うのです!と相談者そっちのけでエキサイトしてしまう己に気付き、やはり人生相談は向いてないと心から感じるのでした。
まとめ
何が起ころうとも、何を言われようとも自分の価値観を信じ、自分の言葉で生きていく。
そうした気概がそこかしこに見られ、笑いながらも「そうだよなあ」と頷く言葉があふれる清々しい生き様が垣間見えるエッセイです。
<こんな人におすすめ>
九十歳の気概ある生き様を描いたエッセイに興味がある
笑いあり涙ありの老人生活を綴ったエッセイを読んでみたい
佐藤 愛子のファン
何があってもブレない強さ!
今の時代にはなかなか持てない
ものだよな。見習いたいぜ。
理解できないものに耳を塞ぐのではなく
自分に落とし込んでからきっちり
物申しているところがすごいわよね。
その舌鋒の鋭さにはいっそ清々しさを感じるわ。
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