
こちらはホームレスの女性が
殺害された事件を調べて
いくうちに彼女の人生が
明らかになっていく物語よ。

ホームレスの女性かあ。
どんな過去があったんだろうな。

親との関係、バブルの時代に
地方で働くことになったり。
男性関係もいろいろと
あったようよ。

ほほう。それなりに山あり
谷ありの人生だったわけだ。
それにしても殺されるくらい
誰かから恨みを買っていた
のだろうか?
『さっちゃんは、なぜ死んだのか? 』真梨 幸子 (著) 講談社文庫
あらすじ
新宿区の公園でホームレスの女性が何者かに頭を殴られ殺害された。
現場近くのカフェでアルバイトをしていたセキグチユウコは、仕事も人生もうまくいかなかったこの女性に縁を感じ、彼女の過去へと踏み込んでいく。
おひとりさま、毒親、貧困、時代ガチャに巻き込まれ、殺害されることで終えた「さっちゃん」の人生とは。
時代に翻弄されたさっちゃんの人生の足跡
ユウコが働くカフェの近くにある公園で発見されたホームレスの女性の名は公賀沙知といい、カフェの常連客でした。
自宅で探し物をしている時に、巾木に小さな文字がびっしりと書かれているのを発見します。
よく見てみるとそこには「公賀沙知」とあって…。
不動産会社に駆け込み事情を話すといったんはぐらかされそうになったものの、奥から担当者の母親らしき老女が現れ、公賀沙知のことを覚えている、と言います。
時代はバブル崩壊の頃。
守秘義務があるため教えることはできないが、当時の彼女を知るアパートの前オーナーを紹介してもらうことに。
いつの間にか新聞社の記者ということになっていたユウコが聞いたさっちゃんこと公賀沙知は、羽振りも良く送り迎えをしてくれるアッシー君もいましたが礼儀正しく真面目な一面がありました。
しかし、ある日夜逃げ同然に引っ越してしまったのだとか。
そしてその先は熱海らしい、とのこと。
彼女も通っていたという定食屋の主人の話によれば、さっちゃんは「コンパニオン」をしていたのだそう。
さらにその当時のコンパニオンつながりでいっしょにさっちゃんと働いていた人物と会うことになり…。
まとめ
派遣とバイトでギリギリの生活、四十歳独身でバイト先では年配と呼ばれアパートは事故物件の部屋が近い。
何だかうまくいかない日々を送っていたユウコは、カフェの常連客で何者かに殺害された「さっちゃん」にシンパシーを感じ、彼女のことについて調べはじめます。
さっちゃんは結婚して娘がいたこともあったらしく、その娘はどうしているのか、その状況から何があってホームレスになり、そして殺害されたのか。
ユウコは日課としているブログに知ったことを綴っていたところ、ある日閲覧者が急激に増えて…。
積極的に悪い方向へ進もうと思っていたわけでもないのに、転がり落ちていってしまうのは育った環境、それとも運や時代のせいなのか。
ぶつける術のない状況が泥沼に沈んでいくような恐怖を感じるイヤミスです。
<こんな人におすすめ>
ホームレスの女性が殺された事件の謎に踏み込んでいくイヤミスを読みたい
毒親や貧困、時代ガチャなどに巻き込まれていく女性を描く物語に興味がある
真梨 幸子のファン


これ、決して本人のせいだけでも
ないよなあ。しかしこのラストは…
相変わらず震えるぜ((((;゚Д゚))))

悪い方、悪い方へと
流されていってしまう
抵抗できない力に背筋が
冷たくなるイヤミスね。
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